クレイグ・チータム『図説 世界の「最悪」クルマ大全』

図説 世界の「最悪」クルマ大全

図説 世界の「最悪」クルマ大全

 市立図書館でふと手にとって、そのまま借りてきた。
 古今のダメ車150種をバッタバッタと切って捨てた本。品質ダメダメ、欠陥車、変なデザインなどなど。ただ、見ていると、「最低」というほどではないんじゃねって車も結構まざっているような。特にデザインに関しては、著者の好みが強く出ているようで、私などは一周回ってありじゃねっと思うような車が、やり玉に上がっていたりする。AMCグレムリンやペイサーなんか、確かに変だけど、見ていると味があるように思えてくる。日産サニーB210型もそんなに悪くは思わないのだが。確かに、ポンティアック・アズテックとか、ファイアット・ムルティプラとか、言い訳しようのないかっこ悪い車もあるけど。
 あと、全体に70-80年代初めの車は品質が低かったようだ。この時代の車が滅多切りされている。当時の車は全般的にさびやすかったようだ。あと、電装系の問題を起こす車も多かったよう。そのなかでも、イギリスの自動車メーカーが悪魔合体してできた、ブリティッシュ・レイランドが生け贄になっている事例が多い印象。「地球一いらだたしい自動車メーカーの称号をほしいままにするブリティッシュ・レイランド(BL)」とまで書かれてしまっているのがすごい。経営不振の企業が、単純に寄り集まっただけという感がつよい。旧企業単位で動いていて、合併の効果は全然なかった感じだな。あとは、組み立て技術とか、開発部門がぼろぼろだった様子。まあ、他にも、ファイアット、ルノー、フォード、GMなどなど、有名企業がやり玉に上がっているわけだが。
 日本車も都合12車種ほどが血祭りにあげられているが、どっちかというと「高級車」としての文法に従っていないとか、デザインが退屈といった扱いが多い感じ。日産のセドリックにトヨタのクラウンも、野暮ったいとか、内装がダメダメと書かれているけど、全世界で通用する高級車をデザインするのって、難しいんだなといった印象。セドリックにいたっては、名前が悪いって… あと、日本車に関しては、日本国内での商品名を書いておいて欲しかったな。せっかく日本語に訳したんだし。調べるときに、どの車種の、どの世代かが分かりにくかった。
 ネットでどんな車だったかを検索しながら読むのが楽しい本。著者の意見に賛同するか、しないかはともかく、世の中いろいろな車があるのだなと。


アルファロメオ・アルファスッド いい車だけど、とにかく錆びると…
フォード・ピント 歴史的欠陥車。会社の「誠実さ」の問題って感じだな。これは確かに最悪だわ。
たまには手を出してはいけないクルマの話を、 マセラティ ビトゥルボ|欧州車・輸入車・中古車を購入するときに失敗しない99のコツ 掛け値なしに最悪の車や…