- 作者: 角幡唯介
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2010/11/17
- メディア: 単行本
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2002年末から2003年初頭と2009年末の二度の探検行、特に前者が主体となっている。2002年には、規制がゆるいなか、大屈曲部北端のザチュの村を拠点に現地の人の支援をうけながら、3度の探検行で「空白の五マイル」の全域を踏査している。やぶこきと石壁のぼり、更にダニに悩まされるという、なんとも大変そうな行程。最終的には「ホクドルン」の下の洞窟と途中の未知の滝を発見している。
2009年は、他の探検家の後を追うべく、上流のギャラの村からたどっていく。しかし、2008年に起きた暴動の結果、チベットへの入域や探検活動が規制されていて、苦労を強いられることになる。摘発を怖れて、住民に協力を拒絶された結果、踏み分け道をたどるのも苦労し、食糧の輸送調達にも苦労することになる。結果として、虹の滝の手前の崖で撤退を決意することになる。しかし、用意していった食料が一日1000カロリーというのは、完全に足りていないよなあ。ルクの村への峠を越え、ワイヤー橋を渡って人家にたどり着くが、橋を見つけたときのところが印象的。その後は、警察に送られて帰還している。尋問したチベット人の警部も印象的だった。
キントゥプから、ベイリー、キングドン=ウォード、ブリーシャーズ、ベーカーらの探検の歴史、そして日中合同隊のカヌー事故など、ツアンポーに挑んできた人々の歴史も興味深かった。
しかし、現在は「冒険」というのが難しいよなあ。ツアンポー峡谷もグーグルマップで写真を見ることができる時代だし。