高石賢一『巨大重機の世界』

巨大重機の世界

巨大重機の世界

 カナダの露天掘り銅鉱山で働く巨大ショベルとダンプ、そしてその製作過程、あとドイツの褐炭を採掘するバゲットホイールエクスカベーターの眷属を集めた野外博物館を紹介した写真集。怪獣みたいな重機が堪能できる。
 第一部は、露天掘り鉱山カッパーマウンテンマイニングの現場。コマツPC8000ローディングシャベルとコマツ830Eダンプトラックが目玉。しかし、自重800トンって、地上を動くメカの重さじゃないよなあ。外部電源で油圧ポンプを動かして作業するショベルカーというのも興味深い。ショベルの爪が削れて熱を持っているなど。あと、鉱山用の大型ダンプって、エンジンで発電して、ホイールのモーターを回すというのも興味深い。あと、こういう露天掘りの鉱山では広範囲に発破を仕掛けて爆破するのな。それ用のドリルリグなるものがあるのか。
 第二部は、コマツ・マイニング・ジャーマニーという、ドイツにある鉱山用重機製造子会?の取材記事。デマーグ社との合弁企業をコマツが取得したという経緯のようだ。デマーグというと、第二次世界大戦時のハーフトラックを思い出す。とりあえず、鉱山用の重機の組み立て風景って、鉄製の建物を建てているみたいだな。あと、鉄板が分厚いのも印象的。宮崎駿の『雑想ノート』で、タイガー戦車の整備がどれもこれも部品が重くて、もたもたしていると描写していたが、こちらはもっと重いんだろうな。エンジンも、出力だけ見れば、戦車の倍近かったりするし。
 最後は、使われなくなった褐炭採掘用大型機械が並ぶ、野外博物館フェロポリス。水で満たされた褐炭採掘場の跡地に立地している。引退したエクスカベータが五基。しかし、一番古いモスキートの自重が約800トンで、コマツPC8000とあまり変わらないということにびびる。まあ、鉄骨構造だから、大きさは全然違うわけだが。あと、バゲットホイールエクスカベータのバケットが鎖の籠になっているのも興味深い。そんなのでいいんだ。サビサビがまたいい感じ。


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 バケットチェインエクスカーベーターとか、オープンピットスプレッダーとか、ちゃんと種類があるのな。