ポスト・アメリカのパキスタン――多極化する南アジア地域 / 井上あえか / 南アジア地域研究 | SYNODOS -シノドス-

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 しかしまあ、ネオコンの「民主化」オセロは跡形もなくなりつつあるな。アメリカに多大な借金を負わせただけ。アメリカとNATO撤退後には、ロシア主導で部隊が駐屯して治安維持を行う構想があるのだとか。それが実現すれば、完全に逆転されるな。アメリカは、中央アジア近辺でグレートゲームを遂行する力を失いつつあると。
 あとは、パキスタンが中国とアメリカ両天秤で、競わせている面とか、基本的な機軸は中国にあるという話とか。しかし、中国にしても、イスラム原理主義の第二の震源であるパキスタンとの関係拡大はジレンマがあるように思えるが。アフガンからアメリカが撤退したら、パキスタンとの関係は冷え込むんじゃなかろうか。明らかに、パキスタンの一部勢力がビンラディンをかくまっていたし、そもそもタリバンのスポンサーがパキスタン軍部だしな。一方で、国内で好き勝手やるアメリカ軍に対する国民感情の悪化も分からなくはないしな。
 インド・中国・パキスタンの三すくみ構図から、対立の一方で協力もする、より分かりにくい関係に変わっていくということか。中国とパキスタンの長年の協力関係も、いつまで続くか分からないと。