石澤和彦『ジェットエンジン史の徹底研究:基本構造と技術変遷』

ジェットエンジン史の徹底研究―基本構造と技術変遷

ジェットエンジン史の徹底研究―基本構造と技術変遷

 読んでの如く、ガスタービンの航空エンジンの歴史。最初に、ターボジェットターボファンターボシャフトターボプロップなど主要なものの作動原理の解説。その後は、歴史的発展。最後に、環境対応や信頼性安全性の追及、今後どのようなエンジンが出現するかなどをまとめている。固有名詞を検索していくと、それはそれでおもしろい。
 第二次世界大戦終戦までのイギリス・ドイツを先頭としたジェットエンジンの開発の歴史。戦後、軍用機用のターボジェットが発展。超音速をめざすとか、民間機への搭載など。続いて、燃費改善のために低バイパス比ターボファンエンジンの出現、高バイパス比ターボファンによる民間市場の拡大。軍用機も低バイパス比ターボファン化、垂直離着陸機、マッハ3への挑戦などの高度化。さらに、第四世代以降の経済性の向上をめざした高バイパス比ターボファンエンジンの発展といった流れ。なんか、コードネームが大量に出てくるおかげで、個別のエンジンに関しては頭に入っていないな。プラット・アンド・ホイットニー、ゼネラル・エレクトリックロールスロイスといった主要企業に関しては、主なエンジンとその系譜を図にして整理するべきだったか。
 基本的に、ジェットエンジンは、各要素ごとに別々に設計して、組み合わせることができるので、同じシリーズが長期的に発展し、同じメーカーでは系譜が続く。最新のエンジンに、日本の企業が、ファンなどを中心に参画しているそうだ。一方で、エンジンの要であるコア部分は、やはり御三家の独壇場なんだな。一応、コアエンジンの技術は日本企業にもあるようだが、高性能のエンジンまでは作れないのだろうな。航空エンジンはリスクも大きくて、国際共同開発によるリスクのシェアが主流になっていくようだ。