飯山幸伸『WW2フランス軍用機入門:フランス空軍を知るための50機の航跡』

 タイトルの通りの、第二次世界大戦に投入されたフランス軍の航空機を一機種づつ解説した本。正直、自分で買う気にはならないが、借りて読む分には悪くないかな。前著のイタリア本でもそうだが、なんか無用に貶めているように感じる。あと、写真が少ないのが最大の欠点かも。実物の写真を見てからではないと、どうも飛行機の形がピンと来ない。
 しかしまあ、本書の形容はきつすぎるが、1930年代半ばのフランス爆撃機の角ばりっぷりがすごいな。まあ、他の諸国も、同時代の機体は大差ない感じだけど。同世代機がだいたい似たようなデザインということは、あれにはあれで理由があったのだろう。
 最大の問題は、この世代の更新が遅れたことなんだろう。次の世代は、一気に垢抜けた感じになるし。第二次世界大戦開戦の時点で、400キロでない爆撃機は、なかなかつらいものがあったようだ。
 フランス軍用機の最大の問題は、性能ではなく、新世代の航空機の数がそろわなかったことではなかろうか。性能が多少劣っても、数が充分そろえば、苦戦しても、一蹴はされなかっただろうに。ブロックMB152の項で、プロペラや照準器が足りなくて、生産された機体のかなりの部分が戦力化されなかったことが紹介されている。フランスの航空機生産のボトルネックは、部品の生産にあったのだろうか。
 MB174/175シリーズのように、戦後生産が行われた機種もあるのだから、フランス航空機産業の設計技術そのものはそれなりのものがあったように感じる。ブレゲー690とか、リオレ・エ・オリビエLeO451みたいな、割といい感じの双発機もあるし。