『土木をゆく:これが、“日本を変える”大構造物の姿だ!!』

 なんか写真が小さいな。あと、最後の土木デートとか、誰得だよ…
 こうして土木の現場を見ていくと、やはり東京には相当なコストをかけてあるなあというのが正直な印象。しかも、狭い場所で工事する必要があるから、周りへの影響を少なくする変態技術が発展していく。中央環状品川線とか、鉄道の複々線化、羽田空港拡張、下水道と、かなりの部分を東京関連が占める。
 首都高や都営地下鉄のメンテナンスの記事も興味深い。都営地下鉄の漏水防止に薬剤を注入するなんて記事を見ると、経年劣化への考慮があまりされてないなあと感じる。笹子トンネルでも、ケミカルアンカーが劣化したのが事故原因だが、この種の薬剤って何十年も持つのかなと危ぶんでしまう。時間がたつと、むしろ劣化を悪化させる方向に働いたりしそう。
 あとは北海道新幹線の工事現場とか、立山砂防工事の現場のルポが興味深い。立山の砂とか、人為的に搬出して、利用できないのかね。土砂の類は輸送コストで足が出てしまうのかもしれないが。流出しようとするものを無理に押しとどめておくのも限界があるのではないだろうか。


 文献メモ:
高橋裕現代日本土木史:第二版』彰国社、1990
石井一郎『土木の歴史』森北出版、1994
新井洋一『巨大人工島の創造』彰国社、1995
日経コンストラクション編『東京湾横断道路のすべて』日経BP、1997
村上圭三『21世紀に架ける:明石海峡大橋の物語』丸善、1998
島田喜十郎『明石海峡大橋:夢は海峡を渡る』鹿島出版会、1998
為国孝敏『身近な土木の歴史:文化の演出者たち』東洋書店、1999
吉村恒監修『トンネルものがたり』山海堂、2001
田村喜子『余部鉄橋物語』新潮社、2010