石川初『ランドスケール・ブック:地上へのまなざし』

石川初 | ランドスケール・ブック ― 地上へのまなざし (現代建築家コンセプト・シリーズ)

石川初 | ランドスケール・ブック ― 地上へのまなざし (現代建築家コンセプト・シリーズ)

 うーむ、密度が高すぎて、わかった気がしない。風邪をひいて寝込んでいるときに読んだからなおさら。一つ一つのトピックが、もっと敷衍できそうな感じ。
 第一章地形のスケール、第二章地図のスケール、第三章時間のスケール、第四章境界のスケール、第五章庭のスケールの5章構成。地図や景観の話に、「庭」を持ち込んできているのがおもしろいな。
 5メートルメッシュのデジタル標高データから歴史的な痕跡を読み出すくだりが興味深い。精密なデータがあれば、痕跡は意外に残っているものなのだな。下水道の幹線が、中小河川を利用しているという話も。熊本でも調べたいが、どこに問い合わせればデータが手に入るのだろうか。
 時間感覚の話や境界に関するトピックもおもしろいが、このあたり、あまり意識してこなかっただけに、よくわかんない。「内部」から押し出された瞬間に、排除装置が牙を剥く話として、使いにくいベンチや鍵付き水飲み場の話。クローズドな空間で作られる開放性なんかも。境界をよく観察すると、いろいろな形態があると。
 ディズニー風の置物を置くと、どんな庭でもテーマパーク化してしまう「7人の小人問題」。ネーミングが笑える。園芸植物に流行り廃りがあって、植えられている植物で年代が分かっちゃう話とか、そういう視点もあるのかと。このあたり、熊本ではどうなんだろう。
 章末の参考文献を見ながら、いろいろと自分で発展させていくべき本なんだろうな。