「県立図書館のマイクロフィルム劣化で一部使用不能:空調管理の不備原因か」『熊日新聞』14/6/6

 県立図書館(熊本市中央区出水)が所蔵する明治以降の県内の新聞などを収めたマイクロフィルムのネガに、空調管理の不備によるとみられる劣化現象が起き、一部が使用不能な状態になっていることが5日、分かった。同館は全体の被害状況の確認を進めている。
 ポジフィルムを使う利用者の閲覧には当面影響はないが、同館のマイクロフィルム製作に関わった会社は「古いネガの多くが、修復不可能な深刻な損傷を受けている可能性がある」としている。
 同館は1966年から現在までに製作・購入したマイクロフィルムのネガ約850本(1本600こま)を3階貴重書庫に保管。異状は5月19日、職員が備品監査に向けた確認中に気づいた。
 リールに巻かれたフィルムから強い酢酸臭がし、酢酸結晶の付着やべとつき、波打ち、張り付きなど、ビネガーシンドロームと呼ばれる劣化が見られた。昨年春にチェックした際には異状はなかったといい、それ以降に劣化が一気に進んだらしい。
 JIS規格では1980年代まで使われていたセルロースアセテートベースのマイクロフィルムの永久保存条件を、24時間空調で湿度15‐40%、最高温度21度と定めている。同館は6月から9月の開館時間のみ貴重書庫を含めて空調(温度設定のみ)を行っているが、それ以外は送風の状態だった。来春のリニューアルオープンへ向けた改修工事で、貴重書庫に温度・湿度管理のできる空調機が備えられる。
 同館の豊田佑一館長は「県民の貴重な財産であり、被害状況を正確に把握したうえで今後の対策を考えたい」と話している。
 2013年の東京大学の研究者らによる調査によると、全国の都道府県立図書館58館のうち5割以上がマイクロフィルムの空調管理を行っておらず、約9割でビネガーシンドロームが発生していた。  (山口純

 6月の記事だが、被害状況とか、修復費用については、どの程度明らかになったんだろうか。マイクロフィルムの資料って高そうだけど。
 昨年は無事だったというが、本当かねえ。条件は変わっていないはずなのに、今年になって急速に進んだってのも、変な話。つーか、貴重書庫に独立の空調がなかったというのも恐ろしい話だ。
 しかし、フィルム系のメディアは、本当に気難しいねえ。