深海生物 捕った、育てた、判った!: “世界唯一の深海水族館"館長が初めて明かす (小学館101ビジュアル新書)
- 作者: 石垣幸二
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2014/08/01
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (1件) を見る
前半は、深海魚の紹介。駿河湾は港からすぐに深海になっていて、深海魚を捕る漁師もいて、非常に深海魚の採取に適している。あるいは、深海魚の生態の話とか。生息密度が低くて、出会いの可能性が低いため、さまざまに工夫を凝らしている。あるいは、採食や身を守る方法の話など。カイロウドウケツの話が印象的だったな。中にドウケツエビが入り込む。最終的に雌雄のペアのみが残り、生長して出られなくなる。残りの一生をカイロウドウケツの中で過ごすという。
あと、深海魚を捕獲し、いかに長く飼育環境で生きのびさせるかの話。いかにショックを与えずに、運ぶか。網から揚げて、プールに入れる方法の確立。高い水温や光にさらされるとダメージが大きいとか。しかし、チゴタラの浮き袋が膨らむから、注射器の針をお尻の穴に挿してガスを抜くって、すごいなあ。餌をどう食べさせるか。あるいは、輸送の時に、タカアシガニやウニはおがくずに入れたほうが生き残る確率が高いとか。やってみないとわからないことが多いと。
おもしろいけど、もっと実体験や自分で観察したことを前面に出したほうがおもしろいのではないだろうか。生物学のバックボーンがないだけに、下手に概括的な話をするより、目先の話の方がおもしろいと思う。
「深海をビジネス化した初めての人」か。実際、そっち方面の話がおもしろかった。