和ヶ原聡司『はたらく魔王さま! 13』

はたらく魔王さま! (13) (電撃文庫)

はたらく魔王さま! (13) (電撃文庫)

 日本での日常メインの巻。
 徐々にいろいろなものが変化していく動きを感じて、ナーバスになる千穂。芦屋に告白して見事に玉砕する梨香。日本でどのような生活をしているかを明らかにするために、魔王やエミリアたちを自分の家に招待するライラ。ライラさんもどんどん壊れていっているなあ。もう、最初の頃の後ろで糸を引く、謎の大天使みたいなイメージは完全に崩壊しているな。汚部屋判明。まあ、それを通じてエミリアとの関係改善の取っ掛かりになりそうではあるが。エミリアに断捨離食らっていそうだけど。
 一方で、エンテ・イスラの問題も明らかに。滅んだ第三の別世界から逃げてきた連中が、エンテ・イスラのセフィラを捻じ曲げ、自分たちが「天使」に納まった。天使の力を見て、エンテ・イスラの人間も、聖法気を遣い始めた。しかし、それは有限の資源であり、それが枯渇した時に、人類文明も大幅な後退を強いられると。しかも、「人類世界の安全装置」たるセフィラも失われ、滅ぶ可能性が高い。で、ライラは、魔王とエミリアに、天使の親玉の討伐を頼みたいと。
 しかし、「魔界」のほうの話はあまり出てこないな。同根であり、最初の魔王サタンが天界を分裂させたものだそうだけど。負の精神エネルギーが魔力だから、聖法気と同様に枯渇するし、魔界では政情の安定とともに負の感情が減って、エネルギーが枯渇しつつあるということか。アルシエルが魔力を手元に溜めている理由というのも気になる。