大内建二『海防艦:日本の護衛専用艦は有効な兵器となりえたか』

 第2次世界大戦直前に、北洋漁業の権益保護のために建造された海防艦、占守型から始まる流れ、実際の戦歴、英米護衛艦艇、戦後の護衛艦、そして終戦直前に計画された海防艇なる船について。
 最初の占守型は、北方で運用するために、わりと贅沢に作られていたこと。それが、戦争が始まってからの急速建造の障害になってしまったという。結局、後から建造が始まった丙型丁型より就役が遅くなった鵜来型とか、泣けるな。
 しかしまあ、海防艦の戦いを見ていると、護衛艦艇が返り討ちになりまくっていて、泣けてくるな。米潜水艦が撃沈した海防艦の数と、海防艦が撃沈した潜水艦の数の差が。結局、ソナーの探知能力が劣っていた、さらに機材の運用能力の欠如なんだろうけど。その中で、1隻撃沈、1隻大破の戦果を挙げた22号は特筆される。
 あと、護衛についた特設空母が次々と沈められているのがなあ。昼間は航空機の活動で、跳梁を抑えられるが、夜になって航空機の有効性が下がると、好餌になってしまうと。このあたりも、レーダーによる見張り能力の差が大きいんだろうな。
 あと、特攻兵器回天の母艦にして、哨戒艇の役割も兼ね備えた不思議艇、海防艇についてが興味深い。いや、実際に完成しなくて良かったよなあ。のろくさい、木製の小型艇なんか、単なる無駄死にしかならないし。