『廃道をゆく』

廃道をゆく (イカロス・ムック)

廃道をゆく (イカロス・ムック)

 イカロスMook「ゆく」シリーズ読みつぶし、3冊目。今回は、タイトルの通り、廃道を追っかける本。これ、4冊出ているんだな。図書館に入ってないから、続きのが読みたかったら買うしかないのか。
 基本的には、使われなくなった「車道」を追っかけている。明治期に開かれた馬車道や新しく長いトンネルが掘られて使われなくなった旧国道など。やはり、峠道が多い印象。交通量が多いところは、峠の下を長大トンネルで抜けてしまう事例が多くなり、残された上の車道や短いトンネルが放置され、自然に帰っていく。地理院地図の最新の地形図と70年代の航空写真、それにグーグルマップの現在の衛星画像にストリートビューを見比べると、いろいろ変化がわかりやすい上に、場合によっては現地に行かなくても、地上からの写真が見られる。昔の車道と徒歩道、新しい車道、それぞれの性格の違いもわかる。すごい時代になったものだ。おかげで、ネットの地図と首っ引きで、丸二日ほどかかった。
 しかしまあ、下手な登山道路を通るより、この手の山岳の廃道を通るのは危険なんじゃないだろうか。渓谷の廃道とか、崖崩れの後の動きやすい土砂の山を乗り越えたりするわけで。しょっぱなの梓川道、国道158号旧道で、踏み出しが1秒遅かったら、岩と一緒に落ちていたなんて書いてあって、やばさ全開というか。あと、廃トンネルとか、よう入らんわ。どこに通じているかわからない穴に入り込める人ってすごいなあ。
 やはり、最初のイチオシの廃道が興味深いな。万世大路、大阪府北端の廃道はらがたわ峠天王峠、高度成長期にはこんな無駄遣いが行なわれていたのかと感心する塩那道路、太平洋側と日本海側のメインルートになり損ねた清水国道。ファイル2の「絶景が楽しめる廃道」の毛無道、矢の川峠。ファイル3の個人で建設した市蔵新道とメインルートを奪い合った束松峠。国道127号の旧道トンネル群。ほとんど山行のホハレ峠。京都は鞍馬の旧二の瀬橋。いろいろと印象的な道が。
 歴史的な調査とアウトドアが組み合わさったダイハードな趣味ですな。