- 作者: 阿部安雄、中川務
- 出版社/メーカー: ベストセラーズ
- 発売日: 2014/09/20
- メディア: 文庫
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巻末の艦歴が有用。ぱっと見ていくだけでも、駆逐艦の大半が昭和19年に撃沈されているのが印象的だな。一方で、特型や甲型は、もっと早い段階で撃沈されている事例が多い。主力駆逐艦として、最前線に投入されたってことなんだろうな。潜水艦の戦果なんかも興味深い。結構、空母沈めているんだよな。焼け石に水感があるけど。あと、ウィキペディアの記事と見比べると、駆逐艦も潜水艦も、島嶼への輸送任務で沈められているのが物悲しい。
写真が豊富なのもうれしい。やっと、特型と甲型と暁型の識別点がある程度わかった。個艦の識別はできる気がしないが。排水量はあまり変わらない特型と初春型、前者は大型で、後者は中型。で、朝潮型以降は、排水量が300トン増えているのに、「特型」とほぼ同じ大きさの大型駆逐艦って言い方が、よく分からなかったが、全長や全幅で比べると特型と甲型って、ほとんど変わらないのな。つまり、初春型や甲型と比べると、特型は船体が弱かったってことなのだろうか。
潜水艦も興味深い。航空機搭載潜水艦って、いっぱいあったんだな。潜水艦の種類の多さ。後知恵で言えば、海大型か海中型を量産したほうが良かったんじゃねって感じだけど。
海防艦以下の小型艦艇、工作艦や潜水母艦などの特務艦、民間商船を改装した特設艦艇にも言及されているのがポイント高い。個人的には、もっと言及して欲しかったけど。調べると、哨戒艇や掃海艇は、緒戦から結構厳しい戦いを経験している感じ。敵前で機雷の除去を行なう掃海艇なんかは、東南アジア攻略から、次々と沈んでいる。「掃海艇の太平洋戦争」みたいな本が欲しくなるな。あと、それなりの大きさで、速度も武装もそれなり、機雷積載スペースが大きい敷設艦が輸送任務で重宝されるのは、英米と一緒だなと思ったり。
ラストに水上特攻兵器が紹介されているが、回天の外道ぶりが。機関部は魚雷の流用とか酷すぎる。誘導装置が人間だったってだけだな。その割りにセンサーが短い潜望鏡だけだから、まともに誘導もできなかったという。有望な若者を無駄死にさせた上に、生産や部隊訓練に費やされたリソース、回天作戦で沈められた潜水艦の数を考えると、収支は完全に赤字じゃね。閉所恐怖症の人間からすると、無駄死にでもまだ震洋の方がマシな感じが。
そういえば、ウィキペディアの明石の記事が充実していて驚いた。いろいろと文献があるんだな。問題は、熊本にいる限り、文献を読むことすら難しそうなこと…
明石 (工作艦) - Wikipedia