「エゾシカ増加→生物多様性喪失:知床 温暖化の影響:横国大などが予測」『朝日新聞』15/4/30

 世界自然遺産知床国立公園(北海道)を調べている横浜国立大などのチームは、地球温暖化で個体数の増加が見込まれるエゾシカによる食害によって、生物多様性が失われ、生態系の機能も低下することが予測されると英科学誌ジャーナル・オブ・バイオジオグラフィー電子版で発表した。
 森章横浜国立大准教授らのチームは、知床半島羅臼岳(標高1661メートル)の西側斜面の森林で、植物とクモ、ササラダニなどの土壌動物を調査。データを元に、温暖化によって標高が高い方へ生物が移動した場合の変化をシミュレーションした。すると、生物によって移動の速さなどが違うため、種の多様性は構成が変化するものの、枯れ葉や昆虫の排泄物が分解されるなど生き物が影響を与え合う生態系機能は変わりにくかった。
 だが、温暖化で積雪が減ることなどが一因となり増加が予測されるエゾシカの食害の影響は、はっきりと出た。調査地点の199種の植物のうち、シカが好む50種が食害によって絶滅した場合のシミュレーションをしたところ、生物多様性と生態系機能が低下するという結果になった。
 シカが食べない苦い植物は分解しにくく養分の循環が遅くなって土が育ちにくい。そのため、森林の再生が遅くなるといった影響が出るという。一方、シカが好まない植物も含めて無作為に50種が絶滅した場合は生態系機能の変化はあまりない、という結果だった。森准教授は「食害対策のために行なわれているエゾシカの個体数管理は、将来の温暖化から生態系を保全する策としても重要になる」としている。  (神田明美

 うーん、見出しと内容が違うくないか。シカが好む植物を生態系から消したシミュレーションの結果なわけで。