書評メモ

[本]ピーター・D・ウォード『恐竜はなぜ鳥に進化したのか』 - logical cypher scape

 酸素濃度の変化が、生物の進化に影響を与えているという話。
 酸素濃度が低い時にはそれに対応した高機能な呼吸器への進化が起こり、酸素濃度が高くなると、高機能な呼吸器を身につけた種が一気に拡散するイメージでいいのかな。
 酸素濃度の変動は、地殻活動なんかの「結果」という気がするけど。

[本]都留泰作『〈面白さ〉の研究 世界観エンタメはなぜブームを生むのか』 - logical cypher scape

 「人間的現実」か。空間や時間感覚を演出する。世界観がどっしり構築されているから、キャラの魅力が光るか。

[本]縣秀彦『地球外生命体』 - logical cypher scape

 天文学者によるアストロバイオロジーの入門書だそうで。「通信可能な文明」なあ。

[本]東京新聞:地球科学の開拓者たち 諏訪 兼位 著:Chunichi/Tokyo Bookweb(TOKYO Web)

 近代の日本で、地球科学を研究した先人たち。さらには、災害への警告について。メモ。

[本]Gillen D’Arcy Wood (2014) Tambora ? The Eruption that Changed the World yuku kawa

 1815年のタンボラ山の噴火が、人間社会に大きな影響を与えたと主張する本の紹介。断定的すぎると、この記事の人は指摘する。
 タンボラ山から噴出したエアロゾルが、実際にどんな挙動をしたかは、今からでは知りようがない。感染症や国際関係にまで、タンボラ山の噴火を絡めようとするのは無理筋など。取り扱い注意な本みたいだな。

[本]大分岐・石炭・世界経済史|新・山形月報!|山形浩生|cakes(ケイクス)

 イギリスにおいてエネルギー資源たる木材が枯渇しつつあったことが、イギリスで産業革命が起きた。中国やフランスでは、そのような投資をおこなうのは、むしろ不経済だった。これは、わりと一般的な議論になりつつあるように思うが。蒸気機関を可能にした科学的な理論は、汎ヨーロッパ的に発展して、流通していた知識だったわけだし。
 確かに、近世の時点でヨーロッパにあったものは、中国やインド、日本あたりには普通にあったものなんだよな。
 だいたい、19世紀を通じて、機械の動力源としては水車と蒸気機関は互角レベルで争っていたわけだし。蒸気機関は、発生以後、徐々に生態環境を変えて、広がっていった。船の動力源にしても、最初は沿岸用のボートやタグボートが出現。それが、流通や国際関係を変えて行く。『アジアの海の大英帝国』だっけ、沿岸用の蒸気機関船が中国の沿岸防備を打ち破るのに果たした決定的役割を指摘しているのは。カティサークのような大きな帆船が普及したのも、蒸気タグボートが出現して初めて可能になったというし。

[本]版元日誌 ≫ 「明治日本の産業革命遺産」をきっかけに忘れられた歴史について考える(弦書房 小野静男)

 弦書房が出した近代化遺産関連書物を中心に、歴史関係の書籍の紹介。『幕末の奇跡――〈黒船〉を造ったサムライたち』や『占領下の新聞――別府からみた戦後ニッポンの世相』は興味あるな。しかし、身の丈に会わないものを導入してしまったあたりで、あまり明治初期の活動を過大評価するのはどうかと思うが。

[本]四千年を文庫本二冊で/中国史(宮崎市定) - 見もの・読みもの日記

 おもしろそう。まあ、書かれた時期が時期だから、その後、アップデートされた部分も多いと思うけど。
 中国史の方向から見たモンゴルとか。科挙エリートがそんなに「判断力」あったのかねえ。

[本]遊びの哲学/中国人はつらいよ(大木康) - 見もの・読みもの日記

 明清の「軟文学」を専門とする文学者の中国論だそうだ。
 「宗族」ネットワークが基本的には生きる拠り所で、家族主義・宗族主義はあっても、国家主義はない。あるいは、楽しみの話など。
 しかし、工業化や都市化、そして人口の移動は旧来の宗族ネットワークをどう変容させたのかを考えるのも重要なんじゃなかろうか。日本でも、半世紀くらいで、それ以前の社会のあり方を忘れつつあるし。

[本]「イスラム国の正体」著者で元シリア大使の国枝昌樹さんインタビュー - GIGAZINE

 外交官と出自って、やはり密接な関係があるのだなと思った。あと、湾岸戦争中に、日本人が人質にされて、それを現場で交渉とか。料理人のエピソード。大使が雇うのか。アフリカで和食を出す苦労とか、給料が安いタイ人の和食料理人を雇うとか。
 中東の報道体制が非常に薄くて、間違いが多く、しかも訂正されない。
 ダーイッシュへの資金援助は現金ではとてもできない規模。武器のブラックマーケット。シリアやイラクでは、尾行がつくとか。
 もう、最近は中東はどこもいけない雰囲気になってきたよなあ…

[本]きな臭い空気を感じてるけど直視したくない人たちにオススメ。伊勢崎賢治『本当の戦争の話をしよう』:Book News|ブックニュース

 メモ。プロパガンダの応酬や自警団の暴走などなど。

本書で僕がもっとも面白いと思ったテーマは「セキュリタイゼーション」です。「何か悪いことが起こるぞ」と人々を脅して煽動しオーディエンスに「防衛しなければ」と思わせること。

 こういうの、犯罪関連では、良く見かけるテクニックだな。中国の脅威を煽る系も、そういうところが強い。

[本]「欧州におけるドイツ」は、「アジアにおける中国」か? 『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告』 (エマニュエル・トッド 著/堀茂樹 訳)|解説|本の話WEB

 まあ、今のドイツは、戦争で獲得するよりよっぽど巨大な影響圏を確保しているよなあ。外交的・金融的ヘゲモニーで、間接支配を実現しているあたり、ものすごく帝国的。
 産業国家日本とドイツを制御するのが「アメリカシステム」だったが、それはドイツが外れ、東アジアでも影響力を減退させつつあることで瓦解していると。
 しかし、人道主義とか、民主主義、文化的多元主義を標榜していたはずのEUが、今や、見る影もなくなっているなあと。人権で大きな問題がある中国に、ヨーロッパの首脳が尻尾を振りはじめたあたり。本気で終わってる感が。

[本]ルーシー・ブラックマンさん事件「15年目の真実」とは - 本のニュース | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

 別の記事をメモしたことはあるが、こちらは著者インタビュー。
 日本と英国が交わる物語か。それぞれに人物の多面性。あるいは、なかなか刊行を引き受ける出版社が見つからなかった話とか。
 犯人は韓国系日本人で、警察などからはそれに対する差別的な発言が出てきたとか。東住吉事件と重なる感じがする。こちらも、関係者に韓国・朝鮮系の人が絡んでいるし。

[本]世界がうらやむ「サシミで食あたりしない国」ニッポン|矢来町ぐるり

 『日本人が知らない漁業の大問題』の紹介。
 そもそも、日本全国で刺身が食べられるようになったのが、最近の話なんじゃなかろうか。半世紀も前の流通を見ると、とっても「安全」とは言えなさそうな感じだが。
 卸売市場によるチェック体制。さらに、流通関係者が蓄えてきた魚を扱うノウハウ。それが、日本の「安全」な魚の流通を支えてきたと。
 しかし、これ、どこまで信用できるんだろうな。産地偽装とか、スーパーへ流通が収斂して多様な魚を扱う機能の劣化とか、問題はいろいろとありそうに思うが。

[本]歴史の捏造『江戸しぐさ』に潜む危うさ|やまもといちろうコラム - デイリーニュースオンライン

 政治と結びついて、教育にまで入り込まなければ、ここまで集中的に狙われることはなかったと思うけど。ひっそりと、世界の片隅で勝手なこと言っている限りは、公的な問題にならなかったと思う。世の中、トンデモさんは星の数ほどいるわけだし。
 「こんなはずでは」って、自業自得だよ。そして、開き直りつつあるのか。

[本]ラサ島って知ってますか?無人、到達困難な日本の秘島 〈dot.〉|dot.ドット 朝日新聞出版

 『秘島図鑑』ね。そもそも、普通の離島でも、なかなか行くのが大変だが、その先となると。
 つーか、沖大東島って、入域することができるのか。