熊本市役所花畑別館の見学会に出撃

 本日は、解体の方針と伝えられる花畑別館の見学会に出撃。自転車が使えないのでバスで。出費が…
 花畑別館は、1936年に逓信省の熊本地方貯金局として建設された。設計者は山田守。逓信省営繕課の技師として、多くの建築にかかわった人物。大学卒業後に、「分離派建築会」を結成。デザイン的なモダニズム建築を多数設計したという。花畑別館は、それほど自由に設計できなかったようだが、外壁や階段の曲線、階段にあわせた段々の窓、外観のタイル張り(今はモルタルで覆われている)などに特徴が出ていると言う話。「モダニズムの傑作」と呼ばれる作品なのだそうで。
 今は、市役所の部局が退去して、かなりさびしい状況に。年を経ているだけに、痛みもあちこちに。耐震改修とリフォームに20億かかるというが、新築でも同じくらいかかるなら、魔改造でも古いものを残したほうがいいと思う。ここ数年で、大量に熊本市内の近代建築が解体されてしまったが、観光都市を目指すなら、こういう歴史的な遺産を残して、都市空間に厚みを作っていく必要があるのではないだろうか。熊本の現況だと、「新しい都市」で勝負できる状況ではないし、そういうので人を呼べるのは数年だけだろう。
 写真撮りまくったけど、かなりブレてるなあ。暗いところでは、もう少し撮りかたを考えないと。


 外観。角が曲線なのが設計者の個性の発露なのだとか。






 窓。原簿室、事務室、階段で、それぞれ違うのが見所。特に階段のところが、段々になっているのがおもしろい。





 階段。曲線を描きつつ、吹き抜けになっている。一番の見所かな。






 外壁は、本来タイル張りだったが、のちにモルタルを塗られている。はがすと、タイルが見える。また、地階や階段は元のままのタイルが見える。地下が地上から見えるのは、明かり取りのためだそうで。








 明かり取りの丸穴。




 庁内書類配送用の気送管。エアシューターというやつ。こんなのあるんだかっこいい。




 正面玄関脇には、足を洗うための水道の跡が。戦前の未舗装道路では、必要なものだったらしい。



 梁がむき出しなのも特徴かな。ついでに、配管もむき出し。




 レトロな雰囲気の守衛室。



 県内では現役最古と言われるエレベーター。50年は動いているそうで。



 トイレの流しもレトロなタイル張り。掃除が大変そう…



 地下。食堂と売店に使われていた部屋とか、シャワー室とか、木造の扉とか。







山田守 - Wikipedia 逓信病院も手がけたのか。あの曲面が本領なのか。
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