小林宏明『銃を読み解く23講:見る、読む、訳す GUNの世界』

 雑誌に連載した銃の解説の連載に、書き下ろしの銃関係翻訳者としての仕事の思い出を綴ったものをあわせた本。元がミステリー雑誌に連載したものだけに、サクサクと読める。
 前半は、銃の解説がメイン。こうやって、どういう仕組みで動くかを図解されると、スムーズに作動する銃を大量生産するって、ノウハウと加工技術がいるんだろうなと思わされる。今どきのリボルバーは、引き金を引いた時以外は発砲しない安全装置が内蔵されている。ショットガンの口径は、銃弾の重さを基準にしている。スナイパー・ライフルの弾道の設定。細かい解説がおもしろい。
 この種の話になると避けて通れないのが、アメリカの銃規制の問題。法的に作られた「アサルト・ウェポン」という概念。学校などの襲撃が多発する状況を考えると、セミオートマチックの小銃を全面禁止して、セミオートマの銃はピストルのみ。それ以上の長さの銃はボルトアクションとかいう規制にすればいいと思うのだが。


 後半は、フィクションに出てくる銃の解説や資料の話。いろいろと考証を求められたり、翻訳の時に知恵を貸したり。専門用語がいくつもあるので、小説を訳するときにも、苦労するようだ。資料本の紹介やインターネットのサイト紹介なんかは、有用そう。『銃の基礎知識』ね。洋書では、Chris McNabのThe Great Book of Guns、Chris BishopのEncyclopedia of Weapons、David MillerのThe Illustrated Directory of Gunsが紹介されている。あとで、アマゾンでチェックするか。ウェブサイトでは、MEDIAGUN DATABASE - MEDIAGUN DATABASEなどが。


 王将の社長の殺害事件で、25口径のピストルが使用されたが、これはほとんど殺傷力がない銃で、見つけるのが速かったなら助かっていたかもという。しかし、「実用性がない」という割には、いろいろと銘柄があるな。コルト・ヴェスト・ポケット、ジュニア・コルト、FN M1906、ベレッタM20、トーラスPT25、ローシンM-L25、シーキャンプLSW25、タンフォリオGT27、ガレーシ・モデル9、スターリングM300、レイヴンMP-25、プロテック、PSA(プレシジョン・スモール・アームズ)などが紹介されている。いろいろなものがあるものだ。後で、検索してみよう。