七宝町七宝焼アートヴィレッジ編『七宝資料集:林小傳治家文書一』2008

 七宝焼き生産の中心となった遠島で、生産業者の中心的な役割を果たした林小傳治関連の文書を集めた資料集。
 おおまかに三つに分けられ、最初は、遠島に、記念碑が建てられた際の手続きに使われた履歴書や碑文、届け出の移しなど。二番目は、様々な履歴書。最後に、緑綬褒章を申請した際に提出された書類の写し。
 記念碑に関しては、建てられた当時の場所に、そのまま残っている。その隣の家が、林小傳治家なのかな。今は、七宝焼はやっていないそうだが。
 塚本貝助より業績が上だと主張する文書が興味深い。両者、草分け的な七宝家で、意識せざるをえなかった状況が透けて見える。あとは、シカゴ万博の出展目録や生産数・輸出量の年別表なども、産業の姿を見る上で有用そう。とりあえず、松方デフレの影響は大きかったんだなと。