あま市七宝焼アートヴィレッジ編『尾張七宝むかし・いま』2014

 明治・昭和戦後、現在と、あま市域の七宝生産がどのように変遷してきたかを追った企画展図録。
 明治、戦後、現在の、それぞれの作業風景の写真を比較しているのが興味深い。明治時代には、縁側に道具を持ち出して作業できる状況だった。背景がみな同じ。それが、研磨工程に旋盤を導入。さらに、現在では素地作りも旋盤になり、焼成が電気釜に、研磨はサンダーでダイヤモンドペーパーを使うという形になりつつある。また、最後の工程である覆輪付けは、生産量の減少から、廃業が相次ぎ、継承の危機にあるという。
 製品の主流の変化も、割と明瞭。明治後期には、非常に細かく植線を施した作風から、余白大目の構成になり、現在ではつやを抑えた玉調のものも作られるようになっている。需要側の変化も大きいのだろうな。