石井元章『第5SS装甲師団「ヴィーキング」写真集:大平原の海賊たち2』

 図書館で見かけたので、借りてきた本。なんでか2巻だけあったのだが、1巻は他の人に借りられていたのか。
 とりあえず、前書きの微妙な電波入り戦争賛辞に気勢をそがれる感大。あと、兵器の名称や地名で、いちいち非慣用的な書き方をするのが、気に障る。ついでに、軍装にあまり興味がない人間には、勲章授与なんかのシーンは、興味を惹かれない。そんなこんなで、かなりざっと目を通した感じ。
 ヴィーキング師団の戦友会で作成され、師団の元幹部に配布されたアルバムが、本書の元。で、それを所有していたのが、キュンメル元中佐ということでいいのかな。それを、ほぼそのまま掲載しているのが、興味深い。それに、キュンメル中佐の遺品や終戦までの経歴など。つーか、キュンメル氏って、負傷して、全身麻痺の状態で終戦を迎えたそうだが、その後、どういう人生を送ったのだろうか。


 AFVのプラモを作るときの参考資料として考えると、ヴィーキング師団のハーフトラックの迷彩が、基本的にダークイエロー地に、ダークブラウンのラインを吹き付けた二色迷彩だったらしいというのが一番大きいかな。写真だけを見て、ブラウン系だと思ったけど、模型なんかでは、ダークグリーンになっているが。基本的には、スプレーガンみたいなので、ザッと塗った感じの迷彩が多いようだ。
 あと、パンターの迷彩が、ツィメリット・コーティングのためか、すごくわかりにくかったり。シェルツェンは迷彩が見えるのに、本体は全然別のパターンに見える写真が多い。影が多くなってしまうということなのだろうか。明瞭に見えるのは、85ページ、120ページ、143ページの写真くらいではなかろうか。
 鹵獲されて、ドイツ軍の迷彩に塗り替えられたたSU-76の写真(154ページ)、鉄道輸送されるナスホルン、ラストのほうの泥濘のなかで動けなくなっている車両あたりも興味深い。
 あと、この写真集ではシュビムワーゲンばかりで、キューベルワーゲンがほとんど出てこないのが、印象的。ウィキペディアによれば、武装親衛隊のオートバイ歩兵大隊のサイドカーを置き換えるつもりで生産されたとあり、SSに優先的にまわされたってことなのかね。