田中芳樹『銀河英雄伝説 1』

銀河英雄伝説 (トクマ・ノベルズ)

銀河英雄伝説 (トクマ・ノベルズ)

銀河英雄伝説 1 黎明編 (創元SF文庫)

銀河英雄伝説 1 黎明編 (創元SF文庫)

 結局、本編も手を付けることに。思った以上に読むのに時間がかかった。外伝がサクサク読めたのと対照的。文体が変わったのかね。
 アスターテの会戦でラインハルト率いる帝国軍が、倍の同盟軍を撃滅。名をとどろかせる。一方、大敗した同盟軍も、不利な状況でヤン・ウェンリーが一矢を報い、名を上げる。両主人公が、表舞台に躍り出る。
 そして、ヤンによるイゼルローン要塞の奪取、そこから同盟軍の大攻勢をラインハルトが撃滅するアムリッツァ会戦。一気に話が進むな。歴史の概説書なら、自由惑星同盟はここで事実上壊滅したと書かれるわな。構成上、序盤に話を進めすぎたというか、同盟軍を負かせすぎたんじゃなかろうか。
 細かいことを気にしだすと、ハイネセンらが脱走に使った宇宙船のエンジンなんかは、どう調達したんだろうかとか。イゼルローン要塞の奪取、いくらなんでも、アレで中枢を押さえちゃうのはご都合主義なような気もとか。ちょくちょく、気になるな。「武人の誇り」とか言って、自殺する人間がたくさん出てくる話で、あそこで司令官を人質に取られて、あっさりと諦めてしまうのもな。あえて自爆する人間はいなかったのだろうか。