『地下をゆく』

 さまざまな地下施設を取材したムック。地下鉄、下水道や地下放水路、粒子加速器国会図書館の地下書庫、鉱山、鍾乳洞などなど。
 鉄道工事や首都圏外郭放水路なんかを見ると、公共建設投資って、首都圏の比重がものすごく大きいのだなと。しかも、地上に場所がないから、地下にものすごい施設をつくって、変態技術が発展。地方に公共投資が無駄に行われているってのは、首都圏に投資を集中するための政治宣伝だったのだろうなと。


 とりあえず、鉱山関係が熱い。釧路コールマインとか、土橋鉱山とか。前者は、現在唯一残る坑道掘りの石炭鉱山。後者は、ろう石の鉱山。岡山県備前市三石周辺に、耐火煉瓦や炉材なんて名前の工場があるのは、これを利用しているからなんだろうな。
 66ページ以下の下水道の話が興味深い。自然流下のため、地形に制約される下水道。一方、上水道は加圧しているため地形に制約されない。両者を立体地図に落とした地図が興味深い。あと、レンガ造りの下水道がけっこうあるのだなと。


 末尾は廃墟化した地下施設や実際に入れる地下施設のリストなど。山梨県甲府市のサドヤが興味深い。来年、創業100年のワイナリー。第二次世界大戦中は、ソナーの中核部品となったロッシェル塩を生産する軍需工場となり、米軍の爆撃にさらされたという。部屋自体をタンクとして利用していたとか。→大正6年創業 山梨甲府のワイナリー・サドヤ