「県の地震・津波想定:最大被害死者1000人規模:震度7、全半壊11万棟」『熊日新聞』13/3/2

 東日本大震災を踏まえて県が試算していた県内の地震津波被害想定で、最悪のケースでは複数の自治体で震度7を記録、死者は1千人規模、建物被害は約11万棟に及ぶと推計していることが1日、分かった。中間報告段階では震度6強が最大だった。県は想定結果を反映させて見直した地域防災計画を5月の県防災会議で決定する。


 南阿蘇村から八代海南部まで延びる布田川・日奈久断層帯や別府・万年山断層帯、人吉盆地南縁断層、出水断層帯、雲仙断層群と、内閣府が昨年8月に被害想定を公表した南海トラフのそれぞれで地震が発生した場合を想定。断層の揺れ始める地点の違いを考慮して10ケースに分けて試算した。
 その結果、最大の被害が想定されるのは布田川・日奈久断層帯地震。建物倒壊や火災、急傾斜地崩壊、津波などにより、約1千人規模の死者が発生するほか、重傷者は約5千人、軽傷者も約2万3千人に達し、建物は約2万8千棟が全壊、半壊も約8万2千棟と見積もった。
 震度7は10段階ある気象庁の震度階級で最大。これまで県内で観測された最大震度は2011年10月の菊池市旭志の5強。
 被害想定は、県内全域を250メートル四方の網の目状に区分し、ボーリングなどの地質調査結果のほか、建築年次や建物の構造などから算定。県が昨年9月に公表した中間報告では基準地点を各市町村役場に限定したため、最大震度は1市4町の6強と推計していた。
 県は阪神大震災後の1996年度にも被害想定をまとめている。ただ、阪神大震災の被害発生パターンを県内に適用して計算しただけで、今回の想定の精度が高い。
 一方、政府はことし2月、九州の活断層の長期評価を見直した。布田川・日奈久断層帯は布田川断層帯と日奈久断層帯に分割して評価。県内の断層で30年以内に地震が発生する確率は、日奈久断層帯八代海区間(全長30キロ)が最も高く、「ほぼ0〜16%」。その他は「推計不可」や「1%以下」などと推計している。      (福井一基)



 東日本大震災を受けて、想定を再検討・試算した記事。3年前に、こういう予測が出ていたのに、結局、対応が後手に回ってしまったというのが。
 中間報告段階では震度6強が最大だったのを、7に引き上げたというのは、まさに現実に震度7地震が起きたことを考えると当を得た対応だったわけだ。まあ、震度7が二連射というのは、誰も考えなかったことだと思うが。
 被害に関しては、死者は二桁、建物の損壊は1/3程度にとどまったわけだが。
 しかし、観測史上では、今まで最も強いゆれが震度5強だったのか。いきなり、そこで3ランクアップすると、やはり想像力が及ばないよなあ…