「うちのイチ押し:松の泉酒造(あさぎり町):生竹入り焼酎:風味絶妙品質こだわり」『朝日新聞』11/2/23

本格球磨焼酎の松の泉酒造
 当然ながらネットショップにはなし。もう生産していないのか、直接問い合わせればあるのか、よく分からないな。

 球磨焼酎の里・人吉球磨では古くから、竹筒に焼酎を入れて燗をつける「たかんぽ焼酎」と呼ばれる飲み方があった。竹の成分が焼酎に溶けこみ、絶妙な風味を醸し出す。そうした風土にあって、松の泉酒造(あさぎり町)が商品化した「生竹入り焼酎」がプレゼントやパーティーなどで喜ばれている。
 地元の新鮮な生竹を加工して使う。黒こうじ仕込みの減圧蒸留で製造したすっきりした味わいの球磨焼酎720ミリリットルを詰める。密閉されているので、竹の節にアイスピックなどで穴を開けて飲む。賞味期限は1ヵ月。天然の生竹だけに、日数の経過により、味は少しずつ変化するという。
 「宴会の話題として楽しんでほしい」と松岡洋世社長(56)。1本の竹から採れる 「竹ボトル」はせいぜい3、4本。予約注文を受けて生産するシーズン限定商品だ。不思議なのは、どうやって焼酎を詰めるのかという疑問。松岡社長は「分からない方が神秘的でいいのでは」とけむに巻いた。
 松の泉酒造は1875(明治8)年創業。周辺地域は、白髪岳の花崗岩をくぐり抜けた良質の水がわき出る井戸が多いことで知られる。地域に根ざした蔵元として「量ではなく、目の届く範囲での焼酎づくり」を心がけてきた。自社の田んぼの要所に備長炭を埋めるなど、品質へのこだわりは徹底している。
 タレントのウッチャンこと内村光良さんとは親類同士という松岡社長。「飲んでくれる人が感動し、ファンになってもらえる蔵元でありたい。生竹を使った焼酎もそんな思いの一環です」
 生竹入り焼酎は1本5250円(税込み)。問い合わせは松の泉酒造(0966・45・1118)へ。       (貞松慎二郎)