「手什事の現場 木の家具:家具工房「桶政」荒尾市川登:使う人に合わせデザイン」『熊日新聞』11/9/26

手作り家具工房 桶政 天然無垢材を使用した収納家具、リビング・ダイニング家具、ベッド
 メモ。
 家庭用のおけ生産で全国2位のシェアって、すごいな。しかし、プラスチックの普及や中国からの安価品の流入で、家具の注文生産に転換と。

 荒尾市川登の家具工房「桶政」。工場の一角を住まいのように改装した展示場があり、社長の福崎良介さん(55)がデザインした無垢材のテーブルやいす、ソファが所狭しと並ぶ。
 同社は1958年、しょうゆメーカーのたる職人だった福崎さんの父の重政さん(81)が創業。ピーク時には年間15万個のおけを生産し、家庭用では全国2位のシェアを誇っていたという。まな板やすのこなども作っていたが、格安の中国製品の流入で売れ行きが落ち、10年前に生産を中止した。
 事業の多角化のため、百貨店向けに桐のたんすなども製造していた同社。福崎さんは「市販の家具は生活に合わないことがある。自分自身、一部を切断するなど調整して使っていた」。顧客の生活に合わせた家具作りを本業に切り替えた。
 気を使うのが安全・安心な材料の確保。「シックハウス症候群などを防ぐため、無垢の木材や安全な塗料を使う」と福崎さん。海外の木材が手に入りにくくなっており、豊富な国産のスギやヒノキを使った学習机などの商品開発も進める。
 使う人に合わせて柔軟にデザインを考える。立ち上がることに苦労するようになった高齢者からの依頼に応え、ソファーの座面を高くし、手すりを付けたこともある。
 一方で半円形のテーブルなど遊び心も取り入れた作品も好評という。「ずっと木にかかわって生きてきた。今後も木目や特性を生かした使いやすい家具を作りたい」。福崎さんは力を込めた。
 同社Tel0968(68)6170。     (山口尚久)