岸由二『「流域地図」の作り方:川から地球を考える』

 出てすぐに買っていたのだが、今までかかってしまった。
 「流域地図」を作成することによって、地形や自然環境に対する感覚を取り戻し、それによって地球規模の環境の保全につなげようという意図の下に書かれた本らしい。土地に対するリテラシーの獲得は、環境にしろ、防災にしろ、非常に重要なことではあると思う。まあ、そのような感覚を取り戻しても、温暖化問題なんかは、人間文明の根幹に関わっていて、改善は難しいと思うが…
 都市化が進んで、土地とのつながった感覚を失っているというのは、確かにあるのだろうな。私自身、土仕事なんかに興味があるかといえば、あんまりないし。


 具体的事例としては、三浦半島の小網代鶴見川流域の二例が紹介される。
 前者は、ごく小規模な河川の流域全域を、緑地として保全する活動。なんかすごいな。元は、水田や畑があったが、放棄されて、自然に戻りつつある。それを、一体として保全する。興味深い試み。生態系の多様性を維持するために、人間の関与が必要という点でも。
 後者は、鶴見川流域を、自治体単位ではなく、流域全体で見て、マネジメントしようとする話。