野生動物は何を見ているのか―バイオロギング奮闘記 (キヤノン財団ライブラリー)
- 作者: 佐藤克文,青木かがり,中村乙水,渡辺伸一
- 出版社/メーカー: 丸善プラネット
- 発売日: 2015/12/01
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (2件) を見る
YouTubeに、カメラで撮った映像が公開されているのがおもしろい。野生動物は何を見ているのか - YouTubeがチャンネル。カメの餌を食べるシーンとか、チーターの狩猟場面なんかは、動画だから、特に印象的。それに比べると、外洋の生き物は、持続時間を長くするために、数秒に一度だから、迫力には欠けるかな。
最初はウミガメ。三陸の定置網に、アカウミガメとアオウミガメの亜成体がかかるので、知らせてもらうシステムを組織した。他では、産卵場に上がってくるカメに限られるので。画期的なシステムと。産卵に上がってくるカメは、メスに限られ、しかも、絶食中。「普通」の状態が調べられる。
アカウミガメの糞から、貝や甲殻類などを食べていることがわかっていたが、カメラの記録ではクラゲを食べている頻度が高い。また、アオウミガメは海藻類を食べているが、動かないものを食べる習性からか、プラスチックゴミを食べてしまうことが多い。一方で、アカウミガメは、避けているという。
あとは、人工衛星に場所を知らせる発信機をつけたウミガメの回遊経路とか。
図2-10 カニを追いかけて食べるアカウミガメ - YouTube
図2-10 カニを追いかけて食べるアカウミガメ
ガザミを追っかけまわして、最終的に捕まえて食べる。ガザミって、ああいう泳ぎ方するんだとか、必死に避けまくるあたりが。
図2-11 浮きに付着したエボシガイを食べるアカウミガメ - YouTube
図2-11 浮きに付着したエボシガイを食べるアカウミガメ
発泡スチロールの浮きについたエボシガイを食べるアカウミガメ。けっこう、浮きも抉られているな。あと、食べるさまが不器用なのがかわいい。
続いては、マンボウのお話。ほとんど漁師になって、マンボウを待つ。
深海では、光源がないので、LEDライトをつけたり、いろいろと試行錯誤している。外洋性の魚だけに、カメラの回収も大変。
クダクラゲを食べたり、クラゲの内臓や触手だけ食べたり、意外な姿が捉えられている。深海で冷えた体を、水面の暖かい海で温める。また、変温動物だけに、大きいほうが、効率よく餌を食べられるなど。
第4章はオオミズナギドリ。地上から飛び上がれないといわれていたが、実際には地上から離陸ができる。藪の狭い場所では、しかたないから木に登って飛び立つ。そのインパクトがある映像が、拡大解釈されたということらしい。
どこで餌を食べているか、季節によってはオスとメスで食事をとる場所に違いがあること。飛行の特性。カタクチイワシをメインの餌にしているらしいことなど。
カタクチイワシを捕食する動画が印象的。まとめ食いするんだな。海面に頭を突っ込んで食う感じか。
図4-9 オオミズナギドリがカタクチイワシを捕らえる瞬間 - YouTube
図4-9 オオミズナギドリがカタクチイワシを捕らえる瞬間
第5章はマッコウクジラのお話。鯨に取り付かれた女性だな。紹介されるエピソードがおもしろい。ロガーの発する電波を受信するために富士山に登ったとか、東日本大震災の時には脱出して無事を知らせたのはいいが、自分をリストに加えるのを忘れたとか。
取り付ける吸盤には、海外の特定銘柄が良くて、海外に行くたびに買い込んでくるそうな。鯨に記録装置を取り付けるための苦労。鯨に接近して、棹でビタンと貼り付ける。しかし、失敗すると事故になりかねないとか。口元を撮りたくて、ヒモで曳航するスタイルの装置をくっつけたときは、嫌がられて、こすり落とされてしまったそうな。腹側につける方法もないし、なかなか難しそう。網で捕まえるってわけにもいかないしな。
イカを深海で捕食するシーンや、水中でどう行動しているのか。イカが、真っ暗な深海でも、墨を吹き付けて回避しているけど、何のためだろうとか。水中で鯨がスキンシップを繰り返しているとか。人間には、水中を観測するのが難しいだけに、そういう姿はおもしろい。イカの墨って、音波にも効果があるのだろうか。Uボートが、ソナーをだます囮の泡を使っていたのといっしょなのかね。
図5-8 マッコウクジラにカメラを取り付ける - YouTube
図5-8 マッコウクジラにカメラを取り付ける
最後は、陸上生物でチーター。藪の中の動物というのは、水中の生物と同様に観測しにくい生き物。ナミビアの保護区では、野生といえども、人間に保護された経験があるので、近づいてきて、おとなしく観測装置をつけさせてくれる。こういうのは、稀有だよなあ。二度も三度も麻酔銃で捕まえるのに比べると、楽さが。
あと、ブッシュを高速で走る生き物では、枝などがあたるので、カメラが壊れるといった事例があり、水中の生物用とは違う工夫が必要と。
藪の中では、時速30-50キロだが、それでも最速。あと、他の動物に横取りされる恐れがないから、悠々と食べる。狩りのシーンも印象的。
しかし、イリオモテヤマネコを研究していた時期の、糞から何を食べたかを明らかにするために、それようの標本を大量に作った話とか、すごいな。
A Href="https://www.youtube.com/watch?v=N86VGz7kJsU">図6-9 チーターに付けたカメラが撮影した狩りの様子 - YouTube
図6-9 チーターに付けたカメラが撮影した狩りの様子
何がなんだかか、さっぱりわからないけどw
ずいぶん長く抵抗するんだな。3分ほど、悲鳴を上げながら、蹴りまくる。でも、逃れられないか…