- 作者: 佐々木春隆
- 出版社/メーカー: 潮書房光人社
- 発売日: 2007/09/14
- メディア: 文庫
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やっぱり、戦地の部隊に配属されるのは嫌だったんだな。あとは、成績順にこだわる姿とか。初陣の危険性。あとは、やはり人間関係で良くも悪くもなる居心地。
しかしまあ、日中戦争の日本軍が。これは勝ち目ないなあという感じで。圧倒的に兵力で劣勢なのを、火力と航空優勢で何とかしている感じ。迫撃砲メインの中国軍に対し、山砲で優位に立つ。しかし、陣地にこもった中国軍を粉砕するほどの火力はなく、機動戦で迂回して包囲するのが基本。第2次長沙作戦のように、避けようがなく、陣地帯を無理攻めするときは損害が続出する。なんか、中途半端な優位さだな。
中国軍の師団が、日本軍の1/3〜半分程度なので、単純に比較できないが、日本軍の兵力は、半分以下。個別の作戦正面では、同程度から優位くらいの感じなのかな。
第一次と第二次の作戦のコントラストがすごいな。
十分に準備された第一次長沙作戦が、苦戦する局面もなく、危なげなく終わっている。大規模に戦力を投入した割りに、結局、まとまった部隊を捕捉できていないようにも見えるが。
一方、性急に開始された第二次では、後半になると弾薬や食糧に欠乏をきたして、息も絶え絶え。最終的には、敵の策にはまって、後方を遮断されて、重囲に陥る。拙劣極まる。
突然の方針変更も、一次ではうまくいって、二次では大損害の要因となる。
しかしまあ、第二次長沙作戦の拙劣極まる指揮にはあきれるな。
前線を食糧不足、弾薬不足にしてしまうって、近代の軍隊としてダメじゃね。それで、日記に「敢闘精神」みたいなことを書き込む軍司令官。物資の備蓄も行わず、思いつきで作戦を開始してしまう。さらには、待ち構える敵の罠の中に飛び込んで、部隊を重囲に陥らせてしまう。
よくもまあ、三個師団壊滅で、戦線に大穴が開くみたいな事態が起きなかったなと。
これを指揮した軍司令官が、最終的には、陸軍大臣までなっているのが、日本軍のアレさを示しているとしか。