村上嘉昭『サバニ:旅をする舟』

サバニ 旅をする舟

サバニ 旅をする舟

 かつて、沖縄で漁業や交易に使われていた帆走サバニ舟。そのサバニで琉球列島を毎年長距離航海しているグループの活動の写真集。集った仲間で、1週間から2週間程度の、クルーズを行う。順風なら帆走でいけるけど、風がないときはみんなで漕ぐってのも、なかなか厳しい。それぞれの島では、なかば野宿的な時や、地元の好意で施設を提供してもらったり。かつての交易航海なんかだと、常宿というか、便宜を計ってもらう相手が決まっていたんだろうけど。
 船室のない船だと、連続航海は1-2日程度が限界なのだろう。というか、荒天に遭遇したときは、かなり絶望的な感じが。かつての人々は、気象予報の技術が発展していない状況で、どういう風に対応していたのだろうか。
 帆走や航海の技術を引き継ぐべく、「サバニ帆漕レース」が開催されているとか、飫肥杉が木造船の材料として重宝されていたという話も興味深い。