- 作者: 帆足孝治/ 阿施光南/ 山下白洋
- 出版社/メーカー: イカロス出版
- 発売日: 2016/07/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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つーか、本書の基準だと、我が国が誇るYS-11も「ダメ旅客機」になりそうだけど。相当赤字を垂れ流したあげく、その後の旅客機開発の動きを止めてしまったという点で。だいたい、200機ほどは売らないと、ペイしないのだな。
最初の2例は、戦前に巨大すぎる飛行機を作ってしまい、必要な性能が発揮できなかったと。巨大さを売り物にした旅客機って、本当に死屍累々だな。成功したのって、747とA380くらいじゃ。後者は、まだ「成功」したか明らかではない状態だし。
戦後、客室を与圧した機体では金属疲労が課題となる。コメットの事例が著名だが、マーチン2-0-2やアブロ・テューダーなどなど。コメットは偉大なる先駆者だけど、商売として考えると、やっぱり「残念」なのかね。114機生産されているから、それなりといった感じはあるが。
イギリスの戦後航空の計画をおこなったブラバゾン委員会の旅客機が、どれもこれも「残念」扱いなのはすごいな。発想そのものより、タイミングが悪かったのかね。計画時期と、航空技術の発達のズレというか。ブリストル・ブラバゾンの2000馬力級のレシプロエンジン二基で、二重反転プロペラ一セットを動かすって、軍用の爆撃機でも持て余すこと請け合いの機構だよなあ。
あと、イギリス製旅客機は、ローンチカスタマーとなるイギリス航空会社がごちゃごちゃと後出しで要求を出して、それで開発が遅延。商機を逃すパターンが多いような。
ニッチ狙いは、たいがい失敗するっぽい。短距離離着陸性能に絞って、売れなかった飛行機とか、結構多いのがなんとも。軍用機でもそうだけど、エンジンの出来不出来が一生を左右するというのもあるようだ。
使ってみると評判がいい飛行機が多いのも、また、印象的。
マイナーな旅客機が多くて、楽しい一冊だった。
本書に出てくる飛行機では、個人的には、ロッキードのコンステレーションシリーズの最終作L-1649とハンドレページ・ダートヘラルドが好きかな。優美な飛行機とずんぐりむっくりの対照的なスタイルだけど。
エンジンを翼の上にマウントしたVFW614旅客機も登場。
あとは、徹底的に隠滅されたセスナ620のお話とか。やはり、経済性と堅実なエンジンが、成功には必須と。