大内建二『砲艦 駆潜艇 水雷艇 掃海艇』

 タイトルの通り、小型の戦闘艦艇を紹介する本。
 沿岸警備タイプの砲艦、駆潜艇水雷艇、掃海艇、どれもおおよそ600トンくらいに収まるのは軍縮条約の影響なのだろうか。そして、これらの艦は、すべて海上護衛に駆り出されて、アメリカの潜水艦や航空機と死闘を繰り広げることになる。とにかく、ある程度外洋を動ける船は、なんだろうと使った感じだよなあ。海防艦と比べると、駆潜艇が潜水艦に撃沈されていないのが意外。大きさも要目も、たいして変わらないのに。
 小型艦艇の中では、砲艦が独特でおもしろい。特に、河用砲艦は、喫水の浅い、薄い船体に、でかい上構を乗っけているのが印象的。河川・沿岸両用型は、より軍艦っぽい外見になっているが。イギリスから鹵獲したモスがかっこいい。
 あとは、水雷艇のいらん子ぶりが。600トンの船体に駆逐艦並みの武装を乗っけたら、復元性が悪化。友鶴の転覆で、武装を下ろしたら、早いけど弱い船に変貌。魚雷が2-3本というのは、艦艇との殴り合いには使い物にならないよなあ。それでも、護衛艦艇として、武装が強力で、重宝されたそうな。同じくらいの規模の海防艦と比べると、スピードを出すための機関が大きくなって、その分、高射砲や爆雷の搭載数が減った感じなのかね。
 上陸作戦の際には、敵前で掃海活動を行うため、それなりの武装が施された艦。結果として、護衛艦としての運用がメインになると。また、感応機雷の登場で、使い物にならなくなる。で、その穴を埋めたのが、木造の駆潜特務艇。つーか、本書で出てくる船で一番活躍したのが、駆潜特務艇なんじゃなかろうか。爆雷と機関銃だけだから、潜水艦が浮上してきたら、一方的に負けそうな船だけど。
 駆潜艇や掃海艇には、遠洋漁船が徴用されたり、漁船の線図で急造された船が投入されている。あと、駆潜艇ディーゼル機関だけど、砲艦・掃海艇はたいがい蒸気レシプロ機関というのもおもしろいな。レシプロ機関は作りやすかったのだろうか。このあたりの機関の住み分けの背景も気になる。