華中作戦―最前線下級指揮官の見た泥沼の中国戦線 (光人社NF文庫)
- 作者: 佐々木春隆
- 出版社/メーカー: 光人社
- 発売日: 2007/10/01
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 3回
- この商品を含むブログを見る
しかしまあ、この時期、ガダルカナルやニューギニア、ソロモン諸島では、補給戦を切られて、将兵が飢えていた中、略奪する食料があるだけマシって感じだな。あと、戦闘での戦死者を避けられるだけ、というか。
前作に続いて、ここでも火力の重要性が印象的。機関銃で撃たれると、前進できない。中国軍が迫撃砲を投入してくると、かなりの損害が出ると。
あと、武漢西方では、堡塁を構築した中国共産党の部隊が陣取っていて、それを攻略するのに苦戦しているのが印象深い。こういう陣地って、強いんだな。75ミリ砲弾なら、ある程度ぶっ壊せそうに思うのだが、そうでもないのか。戦車がいれば、近づいて、銃眼を狙えるんだろうけど。
夜戦の難しさ。視界が悪い状況では、同士討ちの危険も大きいし、そもそも、手さぐりで戦うだけに、逃げる敵の殲滅すら難しいと。
あとは、3000人規模の歩兵連隊を統率できる人間の希少さ。本書では二人の連隊長が登場するが、どちらも、あまり好意的な評価ではない。特に、一人目の今井連隊長は、最終的に職務放棄状態だったわけだし。二番目の小柴大佐は、指揮官をぶん殴って、人望を失っている。上官に殴られまくるのが旧日本軍と思っていたけど、士官同士ではそうでもないのだな。
大陸打通作戦開始後は、第40師団は、主力の西側を援護する作戦を行っているが、師団全体や全体の戦況に関する情報がないと、有効に動けないんだな。他の部隊の動きや、今後の作戦計画を元に準備しなければならないだけに、全体情報は重要。
つーか、連隊規模の部隊に、師団全体がどう動いているか情報を流さないって、師団司令部の気が利かないとしか言いようがないよなあ。
陸軍の教育が硬直しているというのも、印象深い。歩兵学校などでは、対ソ戦を意識した教育が、対米開戦後も行われていた。日中戦争も、結構長くなっているのに、そういう状況だったのだな。
巻末付録を見ると、連隊本部が200人と結構な人数。どういう役割分担だったのか。