今泉マユ子『もしもごはん:かんたん時短、「即食」レシピ』

かんたん時短、「即食」レシピ もしもごはん

かんたん時短、「即食」レシピ もしもごはん

 子供を持っている家族なんかには、ちょうどいい災害マニュアル本なのではないだろうか。特に、巻末の「もしも」に備える知恵のところは、実践的な対策だと思う。家具の固定、子供の防災意識をどう養うか、高齢者の低栄養問題、食物アレルギーの自衛、トイレ問題。今回、水洗トイレは使用可能だったから、助かったけど、普段から携帯トイレなどの非常用備蓄は本当に重要だと思う。食糧と同レベルで重要。下手すると、感染症に苦しむことになるからなあ。
 ただ、本書の通りに備蓄するとすると、かなりのお金とスペースが必要になるのがちょっと厳しい。特に、水。一人、7日分で21リットル。2リットルペットボトルで10本。それをローリングで維持するのは、なかなかに厳しそうな。実際に、大地震が起きると、上水は真っ先に止まって、復旧に時間がかかるから、水の備蓄の重要性は言うまでもないのだが。地震が起きてから、慌てて買いに走っても遅いというか、売ってる店も被災するだろうし。落ち着いてからだと、ものすごい並ぶ。
 缶詰も、一週間備蓄だけでまかなうとなると、それなりの量になりそうだなあ。


 レシピに関しては、ライフラインが完全に停止した状態で、電気も水も使わず、缶詰などをビニール袋の中で混ぜ合わせるだけの「即食レシピ」。水の消費量を抑えるため、高密度ポリ袋に密封した食材を、お湯で加熱する「省エネレシピ」。一週間以降、野菜などの比率を増やして健康維持に留意した「整食レシピ」に別けて、紹介される。
 主食はアルファ米や缶詰のパンでまかない、副食は、ポリ袋の中で、肉や魚の缶詰にコーンや豆などの缶詰やレトルトを混ぜ合わせて、アレンジや栄養バランスを確保するアイデアはおもしろい。日常で実験するには、ビニール袋がもったいない感が…
 「ひよこ豆のフムス」や「カレー豆ごはん」、「ミックスビーンズのあんこ玉」あたりは、試してみたいかも。「大豆のお肉のミートソース缶」なるものが、なんどか出てきて、なんだろうと思ったら、商品名なのか。
 高密度ポリ袋に材料を入れて、口を固く縛って、ゆでるってアイデアもおもしろいな。鍋のお湯は何度も使いまわせるし、鍋を洗う水も必要ない。個人的には、あんまりプラスチック製品の類を、加熱したくないけど。料理としては、ゆでるというより、蒸すに近い感じなのかね。
 アルファ米の水の代わりに、野菜ジュースなどを使ってアレンジ。豆茶ごはんか。


 予想されていたのが、一発来たから、熊本は当面大丈夫なんじゃないかな的な見通しを持っているのだが、実際のところ、どうなんだろうな。起こってみないとわからないことだけど。宇土のほうや八代のほうが不穏な感じだから、もう一発くらいでかいのがドカンと来る可能性はあるのかな。どちらにしても、震源からはずいぶん距離が開くわけだが…
 どの程度、備蓄や対策にコストをかけるべきなのだろうか。

避難所でアレルギー症状が出ることが! その原因

  • ゴミ箱に入っている卵の殻を何らかの拍子で触ってしまった。
  • まな板代わりにするため、牛乳パックを開き洗って使用した。
  • 炊き出しや仕出し弁当で、見た目にはアレルゲンはないと思ったが、隠し味にアレルゲンのバターが使われていた。
  • 小麦粉の空き袋を工作に使った。
  • カップ自動販売機で、ノズルに前の人が購入したミルクが微量に残っていて、それが混入した。

 アレルギーをもつ人は、本人も家族も大変な思いをしています。気づかずにアレルゲンと接触してしまうことが起こるので、周りの方の協力と理解が必要です。p.114

 この程度の接触で出てしまうのか。恐ろしいな。いろいろと行動が制約されてしまう。
 災害時に食べられるものが減ってしまうというのは、命の危機だな。避難所では、アレルゲンを含んだ食物が配られることが多いので困ると。アレルギー対応食が、一般の食糧として配られてしまったり、他と混ざって使えなくなったり。こういう、ハンディキャップがある人への対応は、まだ、全然できていないわけだ。