- 作者: 梅林秀行
- 出版社/メーカー: 青幻舎
- 発売日: 2016/04/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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しかし、京都盆地の西東縁は、どっちも断層があって恐ろしい。京都国立博物館は、重要な文化財を多数所蔵するのだから、断層からは離れるべきなのではなかろうか。
個人的には、聚楽第が印象的。大学時代に、一条通や中立売通なんかは、頻繁に行き来していたが、そのすぐ南に、そんな高低差があったとは。つーか、自転車で行動していると、坂道は無意識に避けちゃうんだよな。坂を登るのきついから。一方で、現在残る高低差が、必ずしも堀跡の遺構ではなく、後に壁土として採取されて、地形が変わっているというのは、本書や釜井俊孝『埋もれた都の防災学』で指摘されている。ゴミ捨て場としても使われていたそうだが、発掘したら、なにが出てくるのだろうか。
淀城の項も、印象的。競馬場の街という印象しかなかったが、意外と城下町の輪郭が残っているのだな。西側の桂川沿いのサイクリングロードは、割と頻繁に往来していたけど、淀の城下町は城の東側なのか。淀城の本丸跡は、よく見えるから入ったことあるけど。
なじみがあると言えば、御土居も巡検で回ったり、鷹ヶ峯に自転車で行ったりしていたなあ。あのあたり、断層崖なのか。そこに、いくつか、侵食谷ができている。御土居の北側は谷を埋めて盛土しているようだが、地震に対して脆弱なのではないだろうか。御土居側を流れる紙谷川だけでなく、京都市西部には、川がいくつもあって、河川改修の歴史なんかを追うと、おもしろそうだな。天井川化して、河道が変わったりもしているし。
近代に入ってから再開発された祇園や円山公園、あまりに開発規模が大きくて遺構が地形として残る方広寺の大仏跡、秀吉の「首都」であった伏見とそこに交通を集めるための土木工事の痕跡。太閤堤や向島城が、歩くと意外とわかるというのもおもしろい。方広寺に関しては、仁木宏・山田邦和編著『歴史家の案内する京都』か小林丈広他『京都の歴史を歩く』で詳しく取り上げられていたような。
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