吉村生・高山英男『暗渠マニアック!』

暗渠マニアック!

暗渠マニアック!

 暗渠と河跡の楽しみ方を、いろいろな角度から紹介する本。歴史や証言を重視する吉村氏と図表で整理するタイプの高山氏という二人のスタイルの違いが、興味深い。もっとも、私は東京に関してまったく土地勘がないので、分からないところも多いのだが。
 個人的には、やはり、土地を「後から」見られるのがおもしろいというところかな。あとは、土地の成り立ちや変化の手がかり、宝探しみたいなおもしろさもある。
 暗渠を調べるには、やはり役所で下水道の地図をゲットするのが、基本なのかな。


 境界としての河川・暗渠や湧水の項が興味深かった。
 意外と境界線に跡を留める。
 かつては、丘陵部では湧水がたくさんあったのに、今はほとんど枯れてしまっているというのは、やはり都市化の影響なのだろうか。そもそも、ああいう場所に現れる湧水は、かなり表層に近そうだけど、それだけに地表面の状況に影響されやすいのかね。あと、灌漑用水としては、玉川上水から補水しなければ、安定して使えなかったようだけど。
 東京以外の暗渠を追っているのもおもしろい。埼玉の藤右衛門川は、Togetterかなにかで見かけたな。神戸の「地下河川」というのが、土建神戸らしいというか。あと、船橋周辺の砂州と小河川も興味深い。

 ガソリンスタンドもこのカテゴリーに入れているが、こちらは排水ではなく排「電」で、電気を逃がすほうだ。ガソリンスタンド建設には、敷地の土壌に静電気など、火災の引き金となる電気が一定以上留まらないように、電気の逃がしやすさを担保するためのアース工事が必要だが、土中の水分含有が多いほうが、工事がしやすくなるという。p.65

 へえ。
 暗渠の側によく見られる施設の一つとして、ガソリンスタンドがあるが、それには理由があったと。静電気をアースするには、湿潤な土地の方が良いと。