門田誠一『海でむすばれた人々:古代東アジアの歴史とくらし』

海でむすばれた人々―古代東アジアの歴史とくらし

海でむすばれた人々―古代東アジアの歴史とくらし

海でむすばれた人々―古代東アジアの歴史とくらし

海でむすばれた人々―古代東アジアの歴史とくらし

 古代の日本列島、朝鮮半島、中国の人の動きや物・技術・文化がどのようにつながっていたのか、遺物を元に追っかけた本。雑誌の記事をまとめたものだそうだ。昔読んだ時はなるほどという感じだったが、今回はむしろ難しく感じたのはなぜだろう。退化したのか、進歩したのか…
 読むのに時間かけすぎたせいで、前の方は記憶がおぼろげに。
 朝鮮半島と日本列島では、かなり密接な人的交流があり、列島の前方後円墳朝鮮半島に築かれていたり、朝鮮半島儀礼や技術が移入されていたりすると。交流の経路として、能登半島などの北陸地域の重要性。
 木製の武器レプリカを使った治水の儀礼が東アジアに広く普及していたらしい。特に江南と日本列島の近しさ。一方で、同盟関係を作るときに角杯を使う文化は、日本には渡ってこなかったと。そういえば、ここに関して、「殺牛儀礼」というワードを思い出したのだが、どこで見かけたのだろう。牛頭天皇関係だっけか。
 陶製のタコツボが日本列島でしか見つからないというのは興味深い。
 あとは、神籠石が、版築の城壁の基礎だったらしいとか。
 一つの墳丘に、多数の埋葬施設が同時に作りつけられた施設を見て、朝鮮半島や中国のものは「殉葬」を想定し、日本では一族の改葬を想定するってのは、ちょっと偏っているような気もしなくはない。