雨木シュウスケ『黒騎士さんは働きたくない』

 発売した時に、書店で遭遇しなくて、今まで購入が遅れていた本。やっと遭遇したので確保、即読了。ここのところ、ラノベは積み本を半年くらい後に読むパターンが多くて、珍しい展開。非常に軽く、読みやすい作品。
 魔物を支配する魔法を駆使し、「王国」を打倒し建国された「帝国」。「皇帝の一番弟子」と称され、「帝国」で枢要を占めていた「黒騎士」。その正体は、10代の少年、クロウだった。帝国崩壊の際、皇帝の娘レイニアを護衛して脱出した彼は、突如としてやる気をなくし、レイニアの導きで獣人の町でニート生活を送ることに。しかし、安穏としたヒモ生活を満喫できるわけもなく、いろいろな後始末に引っ張り出されてしまうことに。
 とりあえず、作中の穏やかな雰囲気が良い。


 幼くして強力な力を身につけ、自分のものではない人生を歩まされた。で、自分の人生をどうするかってところでは、『鋼殻のレギオス』のレイフォンを思い起こさせる部分があるな。まあ、やる気に関しては雲泥の差だが。最近は、こういう「熱くない」主人公の方がいいねえ。


 脇を固めるヒロイン陣が魅力的だな。有無を言わさずクロウをだらだらさせる元皇女レイニア。全然エロくないサッキュバスでクロウ付きメイドだったアシュリー。難しいことを考えると、オーバーヒートして暴れだす新王国の剣聖パスティアなどなど。
 イラスト好きだな。特にレイニアさん。