甲田学人『霊感少女は箱の中』

 初甲田学人。意図せず、怖い話系のラノベ2連続。メルヘン…
 しかし、本書の主人公、やべーな。人が良くて、正義感が強い美少女とか、普通にいい子なのに、体質と合わさると、安全装置を外した銃か不発弾といった趣。霊的に危険な場所や呪術に関わると、全自動で霊を実体化させてしまうのに、正義感から地雷を踏みにいってしまうという。ついでに、霊力を増幅させる「キャビネット」を身近に持ち続けている、まさに「箱の中」という少女。全自動霊障発生装置。その主人公柳瞳佳が、霊をめぐる事件で前の学校を退学となり、銀鈴学院に転校してきたところから始まる。
 転校早々に、クラスの気弱そうなクラスタから、「友情リレー」というチェーンメールを切るおまじないに参加を頼まれ。そこで、人に見られてはいけないおまじないを人に見られてしまう。直後に、一人が失踪。
 クラスメイトで、プロの占い師をやっているという守屋真央に相談することになる。


 もう一人の主人公である守屋、というか、彼が抱えている「ロザリアの柩」が、またやばいな。3人の人間を、いともあっさり呪殺するとか。「霊的な爆弾」ってのが。
 そして、彼に導かれて、霊媒の道に入っていく瞳佳。
 二人は、今後、どうなっていくのだろうか。続きが出るようだし、気になる。


 そういえば、いろいろと周囲が怪しいよなあ。学校そのものが、こういう霊的事件を起こす人間を意図的に集めている節がある。あと、ロザリア・サークルの「棺かつぎ」結城兄妹も、どういう存在なんだろう。ロザリア・サークルがあるビルを所有している人物の血縁と思われるが。