秋目人『漂海のレクキール』

漂海のレクキール (ガガガ文庫)

漂海のレクキール (ガガガ文庫)

 ホラー系二連続から一転、爽やかな海洋冒険小説。やっぱ、海物はいいですね。貴種流離譚というか、「親方、空から女の子が」系というか。
 「エル」という物質を利用して繁栄していた世界。しかし、繁栄は陸地の沈没と「エル」の消失によって終わりをつげる。貯蔵していあった「エル」を使って、陸地を維持しているリエスとその周辺の船団国家、そして、それらに属さない不法船による社会が形成された。
 政変で王宮を追われた聖王家の姫、サリューは、父王からとある海域を指した海図を託されていた。逃亡の途中で女性に弱い主人公カーシュと出会い、「船の墓場」にあるその海域に向かう。
 思ったより簡単に、お宝に遭遇できたけど、その後が長かった感じか。


 滅びに瀕した世界から、新天地に旅立つ希望にみちたラストだけど、行った先には高い技術力を持った国があるんだよな。ただ、接触しただけでは、一方的に蹂躙されるだけの結果になりそうな気もするが。
 続きが出るなら、どう処理するのか、気になるところ。