藤岡換太郎『三つの石で地球がわかる:岩石がひもとくこの星のなりたち』

 もう、読み終わって1週間以上たつので、内容が頭から抜けかけている。
 三種類の岩石、橄欖岩・玄武岩花崗岩の三種類の岩石をメインに、地球の構造の成り立ちを明らかにする。最初の三章が、個別の岩石の紹介。後半は、それによって何が分かるか。変則的な構成だが、直接石から語りおこすことで、すっきりと整理される。高校地学でも、ここらあたり苦手だったんだよなあ。
 つーか、マントル構成物質の橄欖岩が、体積の8割を占めるというシェアの大きさが驚き。残りのうち15%が核を構成する金属で、海洋地殻を構成する玄武岩が1.6%、大陸地殻を構成する花崗岩が0.7%。圧倒的な存在格差があるのだな。
 橄欖岩から一部の成分が溶け出したのが玄武岩で、火山活動のマグマがだいたいこれかそれが変質したもの。また、深層で堆積岩や安山岩が変成してできるのが、大陸地殻を構成する花崗岩花崗岩は、冷えて固まるまでに数百万年以上かかり、その熱が温泉などになると。へえ。


 後半は、石に関する説明。
 最初の第4章は「結晶」の話。珪素原子一つと酸素原子四つの分子が基本的な構成要素で、この分子がどのようにつながるかで、体積や化学的性質が変わっていく。個々の分子が独立している橄欖岩が一番軽くて、立体的に結合しているのが石英や長石と。後者は、珪素と酸素の存在比が2:1程度になる。後のほうで、珪素濃度が高く出るのは、珪素がそれだけ重いということなのだろうか。
 第5章は構成する鉱物の話。橄欖石、輝石、長石、石英角閃石、雲母など。
 最後は、地球形成の初期「冥王代」の話。岩石の分化から見る、地球進化の歴史。隕石が46億年前の形成年代を示す「コンドライト一致」は、地球のそばで超新星爆発がおき、それでいったん気化したせいではないかと。で、このとき吹き飛ばされた物質が、寄り集まって太陽系などを形成する物質の集積を作った。この時点で橄欖岩ができていたのではないかと言う指摘は興味深い。小惑星の衝突による原始惑星の出現とマグマオーシャン。そこから、表面が冷えて最初の岩石コマチアイト出現。そこから玄武岩による海洋プレート。安山岩から変成をうけて花崗岩による大陸プレートの形成と。重い玄武岩と軽い花崗岩の密度差が、大陸と海洋のちがいを作り出したと。そのプレート形成に、「水」が重要と。水がなかった金星では、地殻が一定期間で全部入れ替わるらしいとは、他の本で聞いたことがある。

 京都で生まれ、京都で育った私は、大学院生になって東京に行くまで、地面とは「白っぽいもの」だとばかり思っていました。京都では神社やお寺の庭など、至るところに「真砂」という白っぽい砂が敷き詰められていたからです。上賀茂神社銀閣寺の真砂は、子供心にも印象的でした。しかも、市中を流れる白川の川底も「白川砂」という石で覆われていて、その名のとおり白い川というイメージでした。p.92

 うーん、京都の地面が白いというイメージはなかったな。そもそも、たいがいアスファルトと建物で覆われて、地面が見えないし…
 熊本だと、阿蘇の火山灰と火砕流堆積物で、基本的に地面は黒いものというイメージだな。