杉原智則『叛逆せよ!英雄転じて邪神騎士』

 ある王国が邪神を呼び出そうとして、いろいろしっちゃかめっちゃかにした世界。邪神信仰の教祖を倒し、邪神を押し戻した六英雄の一人、「竜騎士」ギュネイ。戦後、田舎で大工の見習をやっていた彼は、邪神教徒復活の徴候をつかみ、その舞台、旧ランドール王国に潜入する。そこでみたのは、秩序が崩壊して、混乱する社会。見かねて、手を出したギュネイは、いつの間にか深みにはまって、ランドール王国の民衆から「黒狼の騎士」と讃えられる存在になっていた。
 邪神を討伐した側が、目の前の課題に深入りした結果、いつの間にか、敵側の英雄に祭り上げられている状況がおもしろい。足抜けしようと思いつつ、情勢に振り回されて、抜けられない。
 鎧「ガイフレイム」に身を隠して、周りみんなが敵状態。さらに、かつての仲間と戦う破目になるという。巻末では、初恋の相手で、六英雄の一人が敵にまわるようだけど、これ、どうすんの。