サボり上手な動物たち――海の中から新発見! (岩波科学ライブラリー)
- 作者: 佐藤克文,森阪匡通
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2013/02/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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人間の目で観察すると、自分の興味があること以外は意識から外してしまうのに対し、機械でぜんぶ行動を記録すると、「動いていない」ところも明らかにできる。そして、それらから、野生動物たちは、「適度に手を抜いて」生きていることがわかる。まあ、それはそうだよなあ。人間だって、常に全力疾走で生きているわけではない。
バイオロギングによるデータの分析の試行錯誤の話も興味深い。最初の目論見と違うデータが収集されて、それをどう活かすか知恵を絞った。加速度のデータを視覚的に分析するソフトウェアも開発されているそうで。このあたりになると、わからなすぎて、逆におもしろい。
バイオロギングに関しては、何冊か本を読んだことがあるけど、イルカやクジラの音響を分析する研究というのは、初めて読んだ。エコーロケーションで、周囲の状況を認識している。で、エコーの発信間隔で、どの程度の距離を「見ている」のかが分かる。他の個体の出した音で、周りを認識し、自分の発信をサボる。あるいは、捕食動物であるシャチは、作戦中の潜水艦のごとく、基本的に自分から発信することはなく、パッシブで獲物の音を聞いて、それを目標に行動する。あるいは、天草近辺では甲殻類が音をだして、やかましいので、低周波の強い音でコミュニケーションや感知を行っている。おもしろ過ぎる。