かずきふみ『機巧銃と魔導書』

機巧銃と魔導書(グリモワール) (GA文庫)

機巧銃と魔導書(グリモワール) (GA文庫)

 ストーカー3匹もつけてるとか、クラリッサさん、魔性の女過ぎる。
 5つの異世界から、人々が転移してきて、異能を得る世界。彼ら異能者による犯罪を取り締まる組織「クラウ・ソラス」。そこに所属するキョウヤとフィヨルは、異能者による殺人事件を追ううちに、より大きな事件に巻き込まれていく。いい感じに、事件が二転三転して、割とおもしろい。まあ、私は、かなり鈍い読者なのだが。
 キョウヤの機巧銃はともかくとして、フィヨルの魔導書「リア・ファル」のチートぶりがすごいな。6つの世界の全ての事象が記録された存在から、異能者の行動以外のデータを取り出せる。しかし、人間の記憶領域では限られた情報しか読み出せない上に、自分の記憶に上書きされてしまう。リアルタイムに情報を取得できないという制限が、いい感じに一歩遅かったといった状況を生み出している。
 キョウヤのほうは、結局、なんの「異能」か開示されなかったな。戦闘能力のメインは、第5世界の機械人「キューブ」が製造した機巧銃。なにやら、空間を操ることと殺された兄弟姉妹に関連があるらしいくらいか。
 「災厄の30人」の存在とか、売れ行きがよければ続きが出るのかな。


 冒頭の姿が消せるストーカー、タナカユウスケのくだりが妙に笑える。図太い奴だな。