古橋秀之『ブライトライツ・ホーリーランド』

 

ブライトライツ・ホーリーランド (電撃文庫)

ブライトライツ・ホーリーランド (電撃文庫)

 

 

 ケイオス・ヘキサ三部作の最後。オカルトパンクで、人が死にまくるお話は、最後は都市そのものを消し去って終焉を迎える。怪異が次々と押し寄せてくる状況を前にして、都市を生贄にして、神を呼び出す。「ケイオス・ヘキサ100年の歴史はそのためにある」ってのが、なんかすごいなあ。
 これ、B層以下の人々は計画に必要ないから切り捨てとして、都市の最上層部の人々はどうなったのだろう。「その存在をも捧げた」ということは、全員、消し飛んだのかね。そして、神を顕現させて、どうするのだろう。

 ストーリーそのものは、これでもかこれでもかというくらいに、人が死にまくるお話。「トリックスター」スレイマン、そして神の元たるアルファとジョーンズ一家、機甲折伏隊の生き残りヤコとナムたちが、都市の生き残りを巡って争う。
 スレイマンの殺しっぷりが、これまた豪快すぎる。あとは、アレックス・ナムの覚醒のシーンとか。
 皆勤賞のロングファングさんは、途中まで記憶を封じられて家族ごっこをやっていて、今回はあまり活躍せず。つーか、ブラッドジャケットっと、人造吸血鬼。普段は脳と人工心臓だけってのが、すごいなあ。

 「ブラッドジャケット」の登場人物がちょろちょろ顔を出すのが良い。鉤さんとか、アレックス・ナムとか。