湖山真『聖剣と魔杖の多重継承』

聖剣と魔杖の多重継承 (一迅社文庫)

聖剣と魔杖の多重継承 (一迅社文庫)

 こちらも再読。
 男女が鎖でつながれてスッタモンダする話はちょくちょくあるが、これはファンタジーものでそれをやった話。主人公二人が初々しくて、清涼感のあるお話。


 魔族と呼ばれる多様な種族と人類が対立抗争する世界。人類至上主義の南十字教団に所属する「勇者」であるネイシスは、魔族と協力関係にある人間の村での虐殺を防ぐために、南十字教団に叛逆。牢獄要塞に、魔法の鎖でつながれてしまうことになる。
 そこに、「魔王」が囚われているというガセ情報に踊らされたセイレーンの一団が侵攻。その一員セリアの命を助けた代償に、鎖の解除を行ったら、変な風に暴走して。二人が鎖でつながれることになってしまい、揃って脱出することに。
 行きがかりから、セイレーン族と協力関係を結ぶことになったネイシスは、そこで人類とセイレーン族の共存する姿に、理想を見出し、新たな社会を作ろうと決意していく。


 どうやって鎖切ったのか、すっぱり忘れていたけど、ネイシスの「前世」の片方、昔の勇者の魔法なら何でも斬れる剣でぶった切ったのか。
 ラストの、鎖から解放されたことをすっかり忘れていたネイシスとセリアが、指摘されて騒ぐところが楽しい。