- 作者: 宮崎駿
- 出版社/メーカー: 大日本絵画
- 発売日: 1992/12
- メディア: 大型本
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モデルグラフィックス誌に連載された、兵器関係のイラストエッセイ集。「資料的価値なし」と書いてあるだけに、勘違いもけっこうありそうだな。定遠・鎮遠の砲塔は、カバー程度で、実戦時には撤去されていたとか。モニターも、砲側で照準してたんじゃないかな。司令塔があったそうだが。
こうして読み直すと、架空メカが多いなあ。第一話「知られざる巨人の末弟」、第三話「多砲塔の出番」、第七話「高射砲塔」、第九話「安松丸物語」あたり。それに、他の本からネタをとったのが二つ。
個人的には、第三話の巨大戦車「悪役一号」が好き。現実には、まともに動きそうにないけど、かっこいいよなあ。ロマンしかない。現実には、なるべく小さな車両に、できるだけでかい大砲を積んで、できるかぎり装甲を厚くする方向にいったわけだが。
200トンを2000馬力で動かすとすると、相当鈍重になりそう。しかも、大きいだけに、装甲はかなり薄くなりそう。装甲列車も、厳ついけど、装甲は薄いんだよな。砲撃も、下手すると10分に一発くらいしか撃てなかったりして。
形態的には、ロマンしかないんだけど。
あと、古い時代の巨大飛行機が好きなのかな。ユンカースK.51重爆撃機とか、ツェッペリン・シュターケンR-4とか、整備士の血の涙でしか飛ばなさそうな機体。ロマンではあるが、こんなのよく使ったものだとしか。
ユンカースG.38/K.15は、ドイツと日本で、計8機製造されているんだよな…
ドイツの長距離爆撃機も、それなりの数。ようやるわ。つーか、R.4って、本当にロンドンに飛んだの?
海物も印象深い。甲鉄艦に、Qシップに、特設監視艇に。
特に、漁船を徴用した特設監視艇を扱う「最貧前線」が、印象に残る。制空権もない状態で、ほぼ無防備な漁船が爆撃や艦隊の監視のために出撃する。で、潜水艦や哨戒機の攻撃を受けて、大損害を受ける。
太平洋戦争における、民間船舶とそれに乗船していた民間人の被害は目を覆わんばかり。しかも、実際にどのくらいの損害を受けたのか、よくわかっていないというのが酷い。