神坂一『スレイヤーズすぺしゃる12:家政婦は見たかもしんない』

 7冊目。
 「家政婦は見たかもしんない(前後編)」、「見果てぬ野望のそのために(前後編)」、「宝珠を我が手に(前後編)」に、「見果てぬ野望のそのために」のキャラを使った書き下ろし「自由をその手に」の4編。前後編式になってから、単行本当たりの内容量が減ったように感じるな。


 一話目「家政婦は…」は、盗賊団の本拠となっているとおぼしき商家に、メイドとして潜入捜査を行う話。ひたすら魑魅魍魎な屋敷だけど、実は、ぼんやりしている主人が一番問題のある人間のような。金庫にあるお金を、事業に失敗しまくって、浪費してしまうという。


 二話目は、自然保護団体の迷惑行為w
 この世界の自然保護団体とか、動物愛護団体、ネジが飛びまくってるなあ。砂漠緑化のために、水を呼び出す魔法を使える人間を誘拐しまくる。善行はひけらかすべきではないという理屈がなんとも。
 自然保護団体は植物に人望があって、ナーガは木の根と青虫に人望がある。人知を超えた争いが繰り広げられる…
 書き下ろしは、本作に出てきたディラックとファミーユのお話。リリアン編みのお師匠ディラックさんは、とある秘密組織から抜けた人間だった。手芸やファッションの人知を超えた技術による戦い。最後は、ファミーユの下手すぎなリリアン編みに、組織のチーフが見てられなくて、指導。その隙にリナの一撃。まあ、らしい結末。
 犯罪組織じゃないから、略奪ができなくて、結局、リナはほとんどただ働きという、毎度のオチが。


 三話目は、お宝争奪戦。仕事の競合で因縁をつけてきた双子のルーシーとエイシスと、宝珠の取り合い。なんか、この二人、リナと似た精神性だなあw
 ナーガを取り込んで、宝珠を奪うことに成功するが、結局、リナが奪還。それでも、しつこく追いかけてくる三人を黙らせる工夫とは。なかなか、楽しいエピソード。