「耕論:マンションの民主主義」『朝日新聞』15/12/10

 マンションの維持についての議論。不動産コンサルタント牧野知弘氏の「「私権」への固執乗り越えよ」と神戸大教授平山洋介氏の「建て替え以外の選択増やせ」の二本構成。


 前者の牧野記事は、マンションというものが、コミュニティへの参加を前提としたものであるという自覚を持たなければならないという話。

マンションを買うことの本質は、管理組合に代表されるマンションの「コミュニティー」への参加を条件に、専有部分を自分が所有するということなのです。それが一戸建てとの大きな違いです。

に尽きる。
 問題は、区分所有などの、制度の建て付けがそうなっていないってことなんじゃなかろうか。一戸建ての感覚で購入されているし、そう、売っている。そもそも、建物の中古販売市場がちゃんと成立していないから、リセールバリュー=建物の維持に無関心になるんじゃなかろうか。海外じゃ、マンションの所有とコミュニティは、どのような制度で維持されているのだろうか。
 だいたい、この人、著書『空き家問題』で、「私権」を制限して、山手線の内側はタワマンだけにしろとか、中央集権で自治体を潰してしまえとか、そんなこと言った人だからなあ。そういう人から、「私権の制限」という言葉が出てきただけで警戒してしまう。


 二本目の平山記事は、区分所有というマンションの制度そのものに無理があるという話と理解すればいいのかな。リスクが個人で負えないもの。「建て替え」しやすい制度改革が「民主主義」かという指摘。

 しかし、日本では発想が建て替えに傾き過ぎではないでしょうか。欧米の区分所有法に目を向けると、建て替えを予定せず、建物を徹底的に維持しようという方針が主流です。そのために何が必要かを考えた法制度が多い。

 へえ。法制度のお話って分かりにくいけど、どういう風になっているのだろう。
 このあたり、ヨーロッパやアメリカが地震が少ないというのはありそうだ。ライフサイクルの途中で、大地震を一発喰らう可能性が高い日本では、修理と建て替えのどっちが安いのやら…