「世界発2013:ソロモン 津波どう避難:大小1千の島 乏しい情報基盤」『朝日新聞』2013/2/22

 2013年2月6日に発生したM8のソロモン諸島地震の被災レポート。ソロモン諸島の中で東に遠くはなれたサンタ・クルーズ諸島のネンドー島の話。
 災害情報を伝える警報装置の類が存在しなくて、特に遠地津波に対する危険性が高い。近場で大きく揺れれば、逃げるが、揺れが弱かったりすると完全な不意打ちになってしまう。
 この記事のレポートでも、地元政府が電話で津波警報が出ていないことを確認する状況だからなあ。そこから、何らかの手段で警報出しても、手遅れになるだろうな。
 ラジオやテレビは普及していないが、携帯電話の普及率が高いので、ショートメッセージを利用しようと考えている。しかし、2011年にペルー沖地震津波が到来するという設定で一斉メールを送信したら、データ量に限界があって、受信に半日もかかったという。回線の太さも、投資の賜物なのだな。
 その後、どういう対応をしたのだろうか。


 あとは、日本政府の支援の動きが鈍かったという話。

 ソロモン諸島がM8・0の地震に見舞われた直後から、各国政府や団体が支援に動いた。そんな中、日本政府は発生から2週間以上、救援物資を被災地に届けられず、国際的な緊急支援体制に課題を残した。
 地震後、いち早く動いたのは被害の大きかったネンドー島にスタッフが常駐する国際NGO「ワールドビジョン」と赤十字。備蓄していたテントやポリタンクを警察のパトロール船などで送り込んだ。韓国や台湾、オーストラリアなども続々と義援金や支援物資をソロモン諸島やワールドビジョンに届け、地元紙は連日、大きな写真つきで紹介した。
 日本は地震翌日の7日に安倍晋三首相が見舞いを表明し支援を決めたものの、その後の動きは鈍かった。外務省によると、2日後に被災地に近いシンガポールやマレーシアの備蓄倉庫から物資を空輸しようとしたが、旧正月中で物流が止まっていた。成田空港の備蓄は事業見直しのあおりで10年前になくなっていた。日本は、義援金による支援は閣議決定が必要なため時間がかかるとして通常は行っていない。
 1千万円相当の浄水材や毛布などの日本の援助物資は、中東ドバイと、旧正月の休暇が明けたマレーシアからそれぞれ空輸され、21日にようやく首都ホラニアに到着したという。

 ぶっちゃけ、外務省の即応能力の欠如が深刻。この問題、その後改善されたのだろうか。災害にしろ、軍事危機にしろ、こちらの都合に合わせてなどくれない。
 あとは、世界各地に緊急援助用の備蓄が保管されているのだなとか、事業見直しで成田のそれがなくなっていた問題とか。


 ソロモン諸島というと、第二次世界大戦で日本軍が苦戦した印象しかなかったが、割合最近、内戦を起こして、オーストラリアあたりを中心とした多国籍軍の介入を受けているのだな。
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